Sound & Silence

本多重夫の音楽、オーディオ、アートなどについてのプライベートブログ

クリーンメイト ARMMATE IQ1100A - アナログレコードはバキューム式クリーニングマシンで洗浄すると、そのポテンシャルを100%発揮してくれる

2018年の最も良かった買い物はこのクリーンメイトのバキューム式のレコードクリーニングマシン。2番目に良かった買い物が ビンテージの Marantz Model 3250プリアンプ とそのペアになるパワーアンプで、この2つを手に入れたことでレコードを聴く楽しみが完全に復活。充実した時間を過ごせるようになった。

なぜバキューム式クリーニングマシンを選んだのか?

約1,500枚のレコードコレクションがあって、今購入するのも当然ほとんどは中古盤。学生のころから持っているものも、いずれも製造から30年から50年以上経過している。これまでも煮沸ガーゼやレコードクロスとクリーニング液などで購入時などに盤面をクリーニングしていて、確かに盤面はきれいになるのだが、レコード特有のパチパチ、プツプツというノイズが取りきれず、ノイズはいいとしても、再生音そのものに覇気がなく、全体にもやっとしているのが不満だった。カートリッジのクラスを上げても、この不満は根本的には解決しなかっった。

その後、クリーニングマシンの購入を検討していた時に、偶然、有楽町の閉店直前のハイファイ堂の店舗で何枚か「超音波クリーナー洗浄済み」で販売されていた中古レコードを何点か購入してみると、これが意外と音がよかった。それで本格的に検討を開始。超音波式にするか、バキューム式にするかは思案どころ。

超音波式レコードクリーニングマシンーのメリット、デメリット

○ 設置面積は小さい○ 洗浄液は一般的な蒸留水なので安価

○ 一度に何枚も洗浄できる

○ 超音波で液体を振動するだけなので静か(夜でも使える)

× 数リットルの洗浄液の入った機械を置く必要がある

× 洗浄した後のレコードを並べて乾燥するスペースが必要

× 機械への洗浄液の出し入れや準備、かたずけが面倒そう

バキューム式レコードクリーニングマシンのメリット、デメリット

○ 設置面積は大きいが、設置すればいつでも使える

○ 1枚でも数枚でも直ぐに洗浄できる

○ 洗浄液はバキュームで吸い取るので乾燥の手間なし、すぐに再生できる

× バキューム用のモーターが入っているので、電気掃除機並みにうるさい(夜間は無理だろう)

× バキューム用モータ保護のため連続して洗浄するのは20枚くらいまで

× 専用の洗浄液を使うのでコスト的に高くなる(1枚15〜30円程度)

拙宅では猫を飼っていることもあり、安全なレコードの乾燥スペースを確保したり液体の入った機器を部屋に置きっぱなしにするのは無理なことと、バキュームで吸い取るほうが、音溝に余分なものが残留しないこと、準備不要ですぐに使えること、洗浄後に直ぐに再生も可能なことからバキューム式を選択した。

クリーンメイト ARMMATE IQ1100A の選んだ理由

バキューム式レコードクリーナーはこれまで輸入製品が中心で、機能によりシンプルな10万円台から自動洗浄機能の80万円台まで価格帯も幅広い。そんな中、唯一の国産モデルなのが、この「クリーンメイト ARMMATE IQ1100A」。新潟にある企業で本業は精密機器の加工を行なっており、製品精度も信頼できそう。もし修理や保守パーツが必要になっても国内なら安心感があること、それにこの企業が身障者雇用に熱心な企業であることも選択の理由となった。 価格も税込で10万円程度で、ヨドバシ.comでの扱いもあるので注文したら早速翌日には到着した。

それで、バキューム式クリーニングマシンは「買い」なのか?

おそらくその結果を知りたい方も少なくないと思うので先に書くと、もうこれは絶対に「買い」

このクリーニングマシンで洗浄すると聴き慣れたレコードはまるで別物になる。例えるなら、普段外を見ている窓ガラスを大掃除などできれいに拭いたりすると、外の風景がいきなり明るく鮮明に見えることがあるが、それと同じ。暗騒音やプツプツいうノイズレベルは劇的に下がり、音楽の細部への見通しが格段によりなり、楽器の分離が向上、音楽の力感がアップする。今まで「なんかネムイ感じ」だったレコードがいきなり、立ち上がって踊り出していくような。そんな違い。

バキュームクリーニングの結果、音溝の奥から長年の汚れが取り除かれるので、カートリッジのトレース能力がフルに発揮でき、レコードに刻まれている全ての音が全て鮮明に再生される。その変化はかなり劇的で、オーディオ経験者なら理解できると思るが、約10万円の投資でここまで音質が向上することは稀だ。

レコードを洗浄していない日本盤、オリジナル盤の比較は無意味

クリーンメイト導入後、200枚以上洗浄してわかったのは、レコード洗浄をしていない状態での日本盤とオリジナル盤の比較は無意味であるということ。洗浄すると日本盤も音質は決して悪くないし、安定している。几帳面な音はソースによっては合っていることもある。 輸入中古盤はコンディションに大きなバラつきが多いし、一見、美品であっても、音溝の状態がよくない(重い針圧で再生されたために音溝そのものにダメージが大きい場合)ものもあり、洗浄してもそれほど音質が改善しないものもある。俗に「オリジナルは音が太い」という表現があるが、盤のコンディションで歪みが出ているのをそうした音に感じている可能性もある。 なので、オリジナル版との比較を行うには、同程度のコンディションのものをそれぞれバキューム洗浄して比較しないと、何を聴いているかわからない状態になり、本当に何が違うのかを明確にできないように思う。

バキューム式クリーニングマシンの設置のポイント

思ったよりも取り扱いは楽だが場所には注意が必要。

ある程度の高さのある場所に置くこと。重いし、バキューム音も振それなりにあるが、あまり床に近いところに設置すると盤面をブラッシングしずらいし、バキュームした廃液は本体からのチューブに流れるのである程度の高さが必要。拙宅ではエレクターのラックに設置した。

廃液チューブを短くし過ぎないこと。前記したように廃液はチューブに溜まるので、チューブを短くしすぎると数枚クリーニングするごとに廃液を出す手間になる。60cm以上の長さにしておけば10枚以上、連続してクリーニングしても大丈夫だ。最後は廃液を瓶などに出すことになるので、その作業スペースも確保しておきたい。

ホコリ除けの対策をすること。この製品は全体を覆う不織布のカバーが付属してくるので、使用しない時は必ずそれをかぶせて、レコードを置くターンテーブルなどにホコリがたまらないようにすること。

拙宅では不織布のカバーを猫がかじってしまったことと、そのままでは上に物が乗せられないこともあり、特注でアクリルカバーを制作したので、使い勝手はよくなった。

本製品には取り外しできるレコードの静電気を取り除く除電ブラシが付属しており、クリーニングマシンで最後に除電することもできる。このブラシはレコードを再生するターンテーブルに設置することも可能で、レコードを再生しながら静電気を除電できるので、現在はそうやって使っている。

クリーニング方法

クリーニング方法は、やっていくうちにそれぞれ自分なりのスタイルができると思うとので、以下は参考まで。 このクリーニングマシンには、TypeA(青)とTypeB(赤)の二本のボトルが付属するが、これまで使った感じでは通常はTypeA(青)のみの洗浄でも充分。汚れがひどい時やAだけではノイズが取りきれていないとは、TypeB(赤)で2度洗浄をするようにしている。

(1)レコードをクリーニングマシンのターンテーブルにのせて、レーベル保護のプレートセットで固定する。

(2)ターンテーブルを回しながら洗浄液を、内側から外側に向かって垂らす。ドバドバかける必要はなく、細い線を描くように落としていく。汚れや盤の状態に応じて適宜増やしてもいい。

(3) クリーニングブラシを軽く乗せて動かし、洗浄液を盤全体に広げる。焦らず、ブラシで液の流れを調整すれば、盤全体に塗り広げられる。

(4)ブラッシングをする。クリーニングブラシをレコードの内側から外側に向かって、音溝に直角になる方向に前後に動かしてブラッシングする。この時もゴシゴシ力を入れる必要はない。ブラシの先が曲がるようでは力の入れ過ぎ。あくまでも軽く。汚れが多いレコードだとかなり泡がでる。状態により2、3分程度行う。

(5) 盤面上にバキュームパイプを移動して、バキュームモードを実行。5回程度回転させると洗浄液はきれいに吸い取られる。

(6)バキュームが終わったら、レーベル保護プレートを外して、レコードをを裏返して、同じ作業を繰り返す。

(7) クリーニングが完了したら、チューブに溜まった廃液を瓶などに出す。

レコード1枚両面の作業時間は約5分から8分程度。洗浄が終わったレコードは内袋を新しいものに入れ替えて、洗浄済みがわかるようにシールを貼っておく。

クリーニング参考例

これはちょっと極端な例だが、バーゲンコーナーにあった左のホコリやゴミ、カビがあるレコードをクリーニングすると右の状態にまでキレイにできる。再生もほとんど問題なく聴けるレベルになる。

クリーニングマシンがあることで、レコードを聴く楽しみが広がる

レコードを洗浄するとサウンドが一変する。買ってはみたものの、サウンドが今一つだったりノイズが気になったりしたレコードをこのクリーニングマシンで洗浄すると、澄み渡るサウンドになり、「ああ、こんなアルバムだったのか」と感動を新たにでき、次々と洗浄して聴き直したくなる。中古レコード店で購入する時も自分でクリーニング洗浄できるので、欲しい盤が盤質Cランクでも躊躇せずに買ってしまえる。

もちろんクリーニングマシンでの洗浄で取れるのは音溝の汚れやゴミであって、盤面のキズがとれるわけではないので、キズに起因しているノイズが変わることない。それでも全体のノイズ感が低減して聴感上のS/N比は飛躍的に向上する。

60年代、70年代に録音された音楽は、すでにマスターテープも劣化してしまっているだろうし、物理的な特性や録音されたマスターデータの品質に近いのは、デジタルサンプリング、デジタルレコーディングされたデータやそれを元にしたハイレゾ音源かもしれない。しかし、ある意味「いい塩梅に音が劣化する」アナログレコードというメディアは、音楽の入れ物としては最高だったのかもしれない。そうした音楽を心地よく聴くには、クリーニングマシンが必須なのだと、今回強く感じた。


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