Sound & Silence

本多重夫の音楽、オーディオ、アートなどについてのプライベートブログ

ちょっと懐かしいS字アームには、それでしか聴けないサウンドがある

最近のオーディオ用ターンテーブルは、DJ用を除けばストレートアームが主流。S字アームはほとんど見なくなった。70年代からあるような歴史の長い製品をのぞけば、単体のトーンアームもストレートかJ字タイプがほとんど。

その理由はいくつかありそう。ストレートアームの方が軽くできるので現代の軽量、軽針圧のカートリッジに合っていること。物理特性がいいこと。カーボンやチタンといった素材優先でもストレートなら加工が容易なこと。などなど。

S字アームを復活させる

今使っているアナログプレーヤーは、1986年に購入したマイクロのBL-77にAUDIOCRAFTのAC-300トーンアームを組み合わせたもの。このアームはS字アームが基本パッケージで、後でストレートアームをオプションで購入すれば、根元から差し替えることができるように設計されている。

今使っているSHUREのV15 Type3やM44GなどはS字アームの時代のカートリッジだし、アームを変えて聴いてみるとどんな感じかと興味がわき、久しぶりに箱からS字アームを出してきてセットしてみた。

純正のヘッドシェルにカートリッジを取り付けて再生してみると、長い間ほっておいたせいか接触不良で右側の音がでない。シェルとアームの接続ピンを綿棒でクリーニングすると復活。

S字アームならではのサウンドを堪能

S字アームとストレートアームの大きな相違点にはその重量がある。S字アームにするとヘッドシェルの重量も大きく、バランスウエイトもその分重くなるので、アーム全体の質量はストレートタイプの倍以上はあるだろう。針圧を同じ1.2gに設定しても質量の違いは影響しそうだ。

それで実際に聴いてみると、同じカートリッジでも印象はずいぶん変わる。おそらくアームの質量の違いが音に出るのだろう。S字アームだと音楽にタメがある感じがする。細かい細部の表現はストレートアームが明らか優れているが、このバスドラムやベースの重量感が増したようなサウンドはいい。The Whoの「四重人格」を聴いているが、スタジオで演奏しているバンドっぽい雰囲気の描写は、S字アームならではだろう。これでさらに、使い分けの楽しみが増えた。


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