Thinking is The Form

本多重夫の音楽、オーディオ、アートなどについてのプライベートブログ

Mott The Hoople / All The Young Dudes - 困窮したバンドからの復活劇、冴えるボウイのビジネスセンス

最近買った中古レコードの2枚目の話。 David Bowieでいつも感心することは、音楽的に先鋭的で優れていながら、同時に「売れるもの」を必ず作れるビジネスセンスを備えていること。この両立をバランスよくできるアーティストは少ない。

そうした彼のビジネスセンスは、困窮する他のアーティストを支援するときでも発揮される。その代表格は Iggy Popだろう。レコード会社から契約を切られてどこも見込みがない70年代に『Raw Power』をプロデュースして話題を作り、イギーの特異なスタイルを知らしめたし、Lou Reedの『Transformer』をプロデュースして『Walk on The Wild Side - ワイルドサイドを歩け』のヒットで彼をスポットライトの下に送り出した。

1969年のデビューした英国のグループ、Mott The Hoopleもそのサクセスストーリーの一部。4枚のアルバムをリリースしたものの経済的な成功につながらず、解散を検討していたときに彼らのファンだったボウイが楽曲の提供とプロデュースを申し出て、シングルとしてリリースされたのが、『All The Young Dudes』。この曲が大きくヒットしたおかげでバンドは息を吹き返し、レコーディングされたのが同名のタイトルのアルバムで1972年9月リリースされた。

『All The Young Dudes』は、ロックアンセムとなり今でもカバーされるが、このアルバムの他の曲もいい。オープニングがルー・リードの『Sweet Jane』なのは、ボウイのセレクションかもしれないが、彼らのオリジナルもパワーがあるロックチューンでいい。『Ready for Love』は後にはギターのミック・ラルフスが加入するBad Company のアルムでカバーされる名曲。久しぶりに聴いてみたが、ストーンズっぽい気骨のあるロックアルバムで楽しめる。

今思うと、『All The Young Dudes』に『全ての若き野郎ども』という邦題をつけた担当ディレクターのセンスは面白い。当時は一捻りした邦題が多かった気がする。良き時代。