Pink Floydは10代の頃からずっと聴いているフェバリットアーティスト。最初に買ったアルバムは『Meddle(おせっかい)』で『Echoes』は、それこそ何回聴いたかわからないほど。
Pink Floydは時代によって変遷があるが、この「The Later Years 1989 - 2019」はベーシストでコンセプトメーカーだったRoger Waters抜きで、80年代末に再結成された以降の音源をまとめたアンソロジー。 本来はディスク18枚組の豪華ボックスセットだが、テレビもブルーレイプレーヤーも持たない僕には半分のディスクは見ることも聴くこともできないので、このアナログ2枚組の抜粋版(CDだと1枚もの)を購入したというわけ。
David Gilmour と Richard Writeの音楽的魅力が詰まっている
再結成フロイドの音楽性はギターのDavid GilmourとキーボードのRichard Writeが要となっていて、それこそ EchoesやUs and Themに通じる伸びやかで、オープンに広がっていく音空間を作り上げている。ある意味わかりやすく、エモーショナルに訴えてくる。Roger Watersのシニカルで暴力的、内側に向かって沸点で爆発するような方向とは大きく異なる。なので同じフロイドの楽曲を演奏しても、聴き手に与える印象はまるで違っている。まあ、僕はどちらも好きなのだが。
ライブ、スタジオ録音の絶妙なコンピレーション
この抜粋版は、1990年のKnebworthフェスティバル出演時のライブでのオープニングナンバーだった『Shine On You Crazy Diamond』に始まり、他にも『Comfortably Nums』、『Wish You Were Here』がこのライブから収録されている。1990年のKnebworthは当時MTVで中継があり、その映像を見たことがあるが、ステージのスモークが流れてしまう強風で横殴りに雨が降るコンディションで、David Gilmourはギターはもちろん、全身雨でずぶ濡れになりながらの熱演。
むしろ、バンド全体もこうした自然の悪条件を楽しんでしまっているかのようなワイルドな演奏を聴かせてくれる。YouTubeにはその時の映像もあるようだ。
この他にもライブアルバム『Delicate Sound of Thunder』からも収録されており、その『Run Like Hell』のライブでアルバムを締めくくっている。
他にも、『Sorrow』のリミックス、『High Hopes』の別テイクなど盛り沢山。2枚組を通して聴くと、結構お腹がいっぱいになる。
アナログならではの存在感
アナログ盤だと、付属のブックレットの写真集も大きいし、サイズ的な満足感もある。その昔、植草甚一氏が「レコードを買うと、大きいモナカを買ったみたいに嬉しい気持ちで電車に乗って帰る」と書いていたが、その気持ちがよくわかる。
久しぶりに中古でない新しいレコードを買ったが、やっぱりCDでなく、レコードで買ってよかった。