古いナカミチのCDプレーヤー「Nakamichi CD-4」を復活させて、主にロック(特に60年代、70年代)のCDを楽しんでいるのだが、内蔵DACのRCA出力と、デジタル同軸出力をATOLL DAC200に接続して聴くのを何度か冷静に比較してみると、やはり音の透明度や粒立ちでは専用DACがよいので、手頃なデジタルケーブルを探してみることにした。
手頃な価格で質のよいケーブル
メインのCD再生はCECのCDトランスポートで、これはACROLINKのデジタルケーブルでDACに接続している。比較試聴はこのケーブルをCD-4につなぎ変えて行ったが、このケーブルは実売で25,000円程度するので、正直今回はもう少し手頃な価格で質の良いケーブルにしたい。
いろいろリサーチしてみると、AVINITYというドイツのブランドのケーブルが候補に上がってきた。このAVINITYはドイツの大手電機製品メーカーのHamaのケーブルブランドで、大手だけに素材の仕入れに長けていて、競合の3〜4倍する価格の製品と同レベルの製品を提供できているらしい。写真で見ても作りはしっかりしていそうだし、プラグも小型ながら堅牢そうなところが気に入った。
実はプラグのサイズは重要で、ACROLINKのようなハイエンドを意識した製品だとRCAプラグが巨大化する傾向があり、大きくなった分、重量もあるので接続先のコネクタが浅いとプラグのお尻が下がって接触不良を起こすことがである(この対策は後で記す)ので、程々のサイズが良い。
ヨドバシ.comでも取り扱いがあったので上位モデルの「AR-COAX-DG1M」(¥12,000/1m・税抜)を発注。実売価格は約9,800円。上位モデルは導体にPCOCCを使い純銀コートされている。ACROLINKも銀が入っているが、銀が入ることで高域のレスポンスが向上する。一種の隠し味みたいのもので、銀が入ると艶っぽい音になる。
ケーブルをパッケージから出すと、ケーブル自身はそれほど重くなく、硬くもないのでラック内での取り回しは楽に行える。ACROLINKのケーブルは結構硬いので、それに比べたらずっと使いやすい。
音質はクセが少なく、音のリアル感や伸びが良い
実際にCD-4とDACに接続して、20時間以上のエージングがを経た時点でこのケーブルの音質は確かに価格以上に良い。この再生音だけ聴いていると27年前の5万円代のCDプレーヤーの音とは思えない。ロックを気軽に聴こうするだけには贅沢すぎたかもしれない。
こうしたCDを聴いていると欲を言えば、もう少し深い低音がでるといいのだが、そこまで突き詰めると「気軽にロックを聴く」という主旨から逸脱してしまうので、そこはほどほどに。それでも、Ten Years Afterの初期のライブはCDの音質の良さも合って半世紀前の録音とは思えないほどエネルギーに溢れている。音に躍動感があるのが、このデジタルケーブルの良さなんだろう。
僕はこれまで、CDプレーヤー内のデジタル処理までは精度の違いはあっても音質傾向はほぼ同じで、DAコンバーター部分で決まると考えていたのだが、どうやらそれは間違いで、 CDプレーヤのデジタル出力のところでサウンドのかなりの部分は決まってしまっていることは発見だった。CDトランスポートでこんなに音が違うなら、チャンスがあればMark LevinsonやWadiaのCDトランスポートも聴いてみたいものだ。
ケーブルのコネクタの支えを自作
前記したように、高品質ケーブルはRCAプラグが大きくて重量もあり、コネクタが浅いと自重でお尻が下がって接触不良になることがある。なので水平に挿さった状態を維持する支えが必要。ケーブルを支える専用のオーディオアクセサリもあるが、ケーブルを支えるだけに2万円近い出費はちょっと。そこでローテクに段ボールで四角いフレームを自作してケーブルを支えてみた。これでプラグとケーブルを支えている。まあ、古くなったらまた作り直せばいいし。
そんなこんなでCDを聴くのが楽しくなってきて、CDも買い始めると置き場所の問題が再び持ち上がりそうな予感。