アナログレコードを聴くときにやっかいなのは、パチパチという静電気。ホコリを吸い寄せるし、再生する音にも影響が出そう。持っているレコードはバキューム式のレコードクリーナーで洗浄すると静電気はある程度落ち着くし、洗浄後は静電気が発生しにくいようにビニールではなく紙のレコード袋に入れ替えている。それでも出し入れを繰り返したり、聴いたりしているときに静電気は溜まっていく。レコード針が音溝を通過するだけでも静電気は発生してるらしいから。
レコード盤の帯電
レコード盤の静電気の状況は盤ごとに全く異なる。帯電しにくい盤もあれば、しまって取り出すたびにバリバリに帯電しているものもある。こればかりは日本盤も海外盤もあまり関係がない。会社によっては、一時期レコード盤の材料のプラスチックに帯電防止剤を入れていたこともあるようだが、「帯電防止剤は音に悪い」という指摘もあったようで、その後どうなったのかは不明。黒いレコードよりもカラーレコードは帯電しやすい気がするのは、材料のせいなのだろうか?
レコード盤を入れる袋もビニールよりは紙のほうが帯電しにくいので有利。難点は紙の袋は最近価格が上がっていて1枚60円程度すること。ただビニールよりも長期間の保存に耐えるし、盤面に跡が付くこともないので、少し贅沢をして紙袋に統一している。よく紙袋の中にビニールを入れて二重にしていることがあるが(僕も以前はそうしていた)、どうもそれは不要で紙袋だけのほうがいいようだ。
それに、天気や部屋の状態にも影響を受ける。梅雨時や雨の時はそんなに静電気は気にならないが、乾燥する冬場はやはり静電気が多い。エアコンの暖房で空気がさらに乾燥すると余計に静電気が発生しやすい。冬場は加湿器が必須だが、超音波式で水道水のカルキ分が白く付着するようなものは避けたいところ。
除電ブラシは静電気対策の救世主となるか?
除電ブラシをうまく使えば、かなり静電気を取り除ける。ただし過剰な期待はしないこと。前記したようにレコード盤の特性や環境の影響も大きい。あとホコリだらけのレコードを除電ブラシでキレイすることはできない。クリーニングと除電は別の話で、ホコリが多レコードはまずクリーニングを優先してきれいした後で、盤を取り出したときの静電気や少しのホコリを除電ブラシで取り除くようにすべきだろう。
残念なのは、除電ブラシの正しい、効果的な使い方の説明がなかなかなく、普通のブラシのようにレコード盤面をバサバサとはたいたり、レコードをターンテーブルの上に乗せて、グルグルとブラシで摩っても静電気を除電できないばかりか、かえって静電気を増やしてしまうことになる。
除電ブラシの正しい使い方
現在利用しているのは、数年前に購入した「アナログリラックス除電ブラシ」と最近購入した「SK-III RHODIUM」の2種類。用途によって使い分けている。
「アナログリラックス除電ブラシ」は小型で、三菱ケミカル(株)が開発した「コアブリットB」というを特殊繊維を使用しており、「SK-III RHODIUM」は天然毛(黒山羊の髭)と人工毛(導電性繊維)のハイブリッド構成。
これまでいろいろと試行錯誤してみて、一番効果的ではないかと思うのが以下のやり方。除電が上手くできると、再生音の背景が静かで音場の見通しが良くなる。
レコードは必ず手で持つ
共通に重要なポイントはレコードは必ず手で持つこと。ターンテーブルの上に置いていてはブラシで除電はうまくいかない。あと、金属部分をしかっり素手で持つことと、毛先を倒さないこと。
「アナログリラックス除電ブラシ」の場合
このブラシは毛が硬めで、特殊繊維100%だけに静電気はよく除電できる。ただ盤面のホコリをとるのには不向きな印象で除電専用ブラシとしたい。
レコードを片手で持ったら、盤面の上下左右に数秒つづ位、毛先が曲がらない程度の圧で押しつける。これだけでかなり静電気は除去できる。ホコリが気になる箇所は、軽く押し付けてはらう。ホコリをはらったときは、再度盤面の上下左右に数秒押し付けて除電する。
除電が終わったら、ターンテーブルにレコード盤をのせる。
「SK-III RHODIUM」の場合
このブラシは、は天然毛が中心にあって少し長くまわりを導電性の人工毛で覆ってある。毛足も長く全体に柔らかいので、除電と合わせてホコリを取るのにも向いている。使い方のコツは、倒さずに、長い天然毛をゆっくり動かして毛にホコリをからめ取りながら、除電をしてくこと。
これもレコードを片手で持ったら、ブラシの金属部分をしっかり指で押さえて、毛の幅広の方を溝に90度の角度で当てて、内側から一周15秒〜20秒位のスピードで内側から外側に向かって2〜3周していく。上手くできると盤面のホコリは毛に移るので、ブラシを盤面から離したら自分の服やズボンに毛先を擦り付けてホコリを落とす。とにかくゆっくり動かすこと。
その後でもまだ静電気が残っているようなら、ゆっくりともう一周ブラシをかけてみる。
除電ブラシでなんでも除電
除電ブラシはレコード用に作られてはいるが、他の除電も利用できる。例えば、僕はアナログリラックス除電ブラシは毛先が短いので針先の掃除にも使っている。逆さまして奥からから手間に移動すれば、リード線、カートリッジ本体を除電しつつ針先のホコリも取り除ける。
毛先の長いSK-III RHODIUMなら、アームやケーブル類、アンプの背面の端子部分(電源を切った状態で)などを軽く拭って除電できる。ホコリも取れるので汚れが防止できるのもいい。
除電ブラシがあると何かと便利だ。