所有しているSHUREのカートリッジは全部、山本音響工業のカーボンや黒檀、つげ材のヘッドシェルに同社の太いリード線をセットにして使っている。このヘッドシェルには別売でチタン製の指かけというのがあって、指かけ位で本当に音が変わるのか、多いに疑問もあったので試してみることにした。
もともとこのヘッドシェルには金メッキした真鍮を曲げた指かけが付いている。軽量化のためだろうが、すごく薄い真鍮の板で簡単に曲がってしまうようなものだが、使い勝手はそんなに悪くなく指かけとして不便を感じていなかったし、音にそんなに悪影響がある印象もなく、これはこれで考えられているのだろうと思う。
今回はチタンの指かけを3本購入。パッケージはこんな感じ。説明によると先端についているシリコンの滑り止めリングの有無では音は変わるらしい。ふむふむ。
取り替えは簡単で、ねじ止めされている既存の真鍮の指かけを外して、チタンの指かけをグルグル回して止めていくだけ。簡単に取り外しができるので指かけなしも試せそうだ。
付け替えて最初は、使い勝手が違うのでカートリッジ を落としそうになるが、慣れれば問題ない。移動するときは軽くつまんで、盤面に落とすときに軽く指をかけるという感じ。
それで音はというと確かに違う。もともとカートリッジは音溝の微小な振動を扱っているわけで、カートリッジが取り付けられているヘッドシェルの状態が少し変わっただけでも、それが何万倍にも増幅されてスピーカーから聴こえてくるわけだから影響は少なくないだろう。
真鍮に比べるとチタンは、音抜けがよく残響が一直線にきれいに消えていく。音の立ち上がりも改善されるので各パートの分離が良く、音数が多くなったようなサウンドになる。ただ、何か音を溜めて深みを表現するような方向ではない。音のプレゼンスやリアリティが増していく。その傾向は、カーボン、黒檀などヘッドシェルの素材に関係なく共通している。
先端についているシリコンリングの有無も試してみた。リングを取るとチタンの材質の音調がそのまま出てくるというか、高域の抜けがさらに良くなるようだ。ここはシステムとの相性や好みの問題で、僕にはシリコンリング有りのほうが抑制があって心地よく感じられた。
指かけという数センチのパーツでも音が変化するのが、アナログの面白いところであり、悩ましいところでもある。