昨年発売された『The Later Years』の2枚組LPにも一部が収録され、同タイトルのBOXセットにはCDで収録されていた1990年6月30日のKnebworth Festivalでの演奏が今回『Live at Knebworth 1990』として、高音質45回転LP2枚組というベストなフォーマットでリリースされた。ルネ・マグリット風のアルバムカバーはもちろんヒプノシスのデザイン。
1990年のKnebworth Festivalの参加アーティストは、Pink Floyd, Paul McCartney, Genesis, Phil Collins, Robert Plant with Jimmy Page, Dire Straits, Eric Clapton, Tears for Fears。観客12万人。コンサートの模様はMTVで中継された。僕もこのMTVの中継でPink Floydのパフォーマンスを見ている。同日の映像の一部はビデオやブルーレイでもリリースされている。
『The Later Years』の記事でも触れたが、この日の夜は雨、風ともに強い悪天候でステージ上のスモークは雲のように流されてしまうし、フロントに立つデイブ・ギルモアはストラスキャスターも着ている服もずぶ濡れ状態。しかし、この日のためのゲストメンバーを加わって演奏は大熱演。1時間弱のセットだが、この時期のフロイドのベストライブの一つといえる。
演奏曲目は以下の通りで、45回転2枚組に分けて収録。
- "Shine on You Crazy Diamond, Parts 1-5”(LP-1 A面)
- "The Great Gig in the Sky"(LP-1 A面)
- "Wish You Were Here"(LP-1 B面)
- "Sorrow"(LP-1 B面)
- "Money”(LP-2 A面)
- "Comfortably Numb"(LP-2 B面)
- "Run Like Hell"(LP-2 B面)
このライブの聴きどころ
『Shine on You Crazy Diamond』では、当時デビュー直後で注目を集めていたジャズ、フュージョン女性サックス奏者のCandy Dulferがゲストで登場。力強いソロでこの曲を締め括る。続く『The Great Gig in the Sky(虚空のスキャット)』では、『狂気』のアルバムで見事な歌声を聴かせたClare Torry本人がライブで再演。圧巻のパフォーマンスを見せる。 ニューアルバムからセレクトされた『Sorrow』は、このライブのハイライト。重厚でドラマチックなサウンドでデイブ・ギルモアのギターの凄みが伝わってくる。『Money』は途中レゲエっぽいリズムのアレンジが加わり、この曲の諧謔味がさらに強調されている。そして『Comfortably Numb』『Run Like Hell』のフィナーレへと演奏はさらに熱を帯び、最後は花火の打ち上がる音で終演。
LPならでは大判のブックレットもうれしい。
オーディオ的にも楽しめる
このアルバムのレビューで、低音が足りないとか分離がイマイチという批判もあるが、30年以上前のテレビ放送用の音源だったものをがんぱってリマスリングして、高音質LP化したのだと思う。僕はオーディオ的にも十分楽しんでいる。
SHURE V15 TypeIIIやTypeVの高音質でスピーカーいっぱいに広がる鮮明なサウンドを楽しむもよし、M44Gの太い音でステージの前にいるかのような臨場感を楽しむのよし、いろんな聴き方ができる。
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コロナ禍でずっとライブを見ることができないが、久しぶりにライブの興奮を思い出すことができた。
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Live At Knebworth 1990 (Vinyl) [Analog]
- アーティスト:Pink Floyd
- 発売日: 2021/04/30
- メディア: LP Record

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- 発売日: 2021/04/30
- メディア: CD