長い間、中古レコードを買ってきて感じるのは、年々コンディションのばらつきが大きくなっていること。発売から40年、50年以上の時間を経ているので当然のことではあるけれど。特にこの10年は、DJ用途が広がったせいで、そのラフな扱いや重針圧で再生されたことで盤面の劣化は一層進んでいる。なのでDJが出入りしている中古レコード店は避けるようにしているが、それでも今では普通のお店にもそうした盤が出回ってしまっている。
また、中古レコード店のポリシーも様々で、買い取ったレコードは、ジャケットを拭き、盤面も簡単にクリーニング。全体を視聴してチェックの後に値付けして店頭に出すお店がある一方、買い取ったものは、値札をつけるだけでそのまま店頭に並べるお店もある。
買った中古レコードはきれいにすることが基本
僕の場合は、買ってきたレコードの状態にもよるが、基本的にはまず次の処置をしてからターンテーブルに乗せて聴いている。
(1)ジャケットを拭く
潔癖症ではないが、手が汚れるジャケットは気持ち良いものではないので、まずレコード盤をジャケットから出して、水で洗って固く絞った布でジャケットを拭きあげる。結構汚れてることがわかるはず。拭いた後はしばらく乾かす。湿気たままで他のレコードと重ねないこと。貼り付くつと悲惨なことになる。
(2)ジャケットの補修
年数を経てくるとノリがダメになって、ジャケットがバラバラになっていることがある。人によってはそうした経年変化を含めジャケットはそのままとして、レコード盤のみを別の厚紙ジャケットに入ることもあるようだが、僕は治せるものは修復する方針。よほど劣化したジャケットでない限り外袋は使わない。このMagazineのセカンドは下が空いていたので、ボンドで接着してクリップで押さえておく。
(3)レコード盤の洗浄
数年前に購入したバキューム式レコードクリーナーでレコード盤を洗浄。バキューム式のユニットは高い(10万円前後)と言われるが、2000回(面)以上洗えば1回50円なのでレコードを1000枚以上保有しているなら費用対効果は断然高い。購入直後の盤面状態では、プツプツ、パチパチのノイズがある状態を一掃できるし、音の細部まで見通しがよく、バランスも改善されてレコード盤本来の音で聴けるようになる。新品のレコードであっても盤面に残っている剥離材やパッキング工程での埃を除去できて音質的にも改善する。
(4)レコードを紙製の内袋に入れる
洗浄したレコードは、レーベル面に残った洗浄液を拭き取って紙製の内袋に入れる。ビニール製の内袋は安価(1枚10円程度)で手軽だが、静電気が発生することと劣化が早いので、価格は高い(1枚40円程度)が厚手の紙製の内袋に入れ替えている。この紙袋だと、レコードの飛び出しがないのでジャケットの背抜けや底抜けの防止にもなる。
コレクターやオークションだと、黄ばんでボロボロになったオリジナルの紙袋が付属するのが人気のようだが、僕はそこに執着はないので資料的に意味のある場合を除き破棄する。
(5) ビニールの外袋を使う時
基本的にビニールの外袋には入れない。その分かさばってラックへの収納枚数が減ることもあるし、そのビニール外袋が劣化して汚くなるのが嫌なこともある。ただ、ジャケットが補修困難なほど劣化しているものや完全に背抜けしているジャケットのときは、薄手の蓋付きのビニール袋に収納する。
文書で書くと面倒そうに思えるかもしれないが、そうしたひと手間をかけることで買ってきたレコードの状態をよく把握できるし、前のオーナーがどんな風に聴いていたのかも感じることができる。
レコードを大切に扱うということは、その音楽に敬意を払うことでもある。