Sound & Silence

音楽、オーディオ、アートなどについてのプライベートブログ

Eric Burdon & The Animals, Julie Doriscole, Joe Boyd - Summer of Love の香りが残る1960年代末

また、1960年代の音楽のCDについて。カケハシレコードのCDバーゲンは続いていて、1枚700円以下で色んなものが出てくる。今回入手したのはこの3枚。

前回も書いたが、1960年代の音楽の魅力は「無垢で自由な精神の発露」にあって、ロックがビッグビジネスになる1970年代以降にそうした精神は失われてしまう(その後のパンクムーブメントはそれを取り戻そうという試みであったが、それすら音楽ビジネスに喰われてしまうが…)。

V.A./WHITE BICYCLES: MAKING MUSIC IN THE 1960s (2006)

1960年代の英国著名プロデューサーだったJoe Boydが1966年から1970年にかけて手がけたアーティストの23曲を収録CD。どうも同タイトルの自伝の出版に合わせての企画ものリリースだったようだ。

1曲目はCream以前のEric Claptonの「Cross Road」で始まる。当時のホワイトソウルシンガーだったSteve Winwoodが歌。Joe Boydは、Pink Floyd、Soft Machineというサイケデリックロックから、Shirley Collinsの純トラッド、Fairport Convention、 Nick Drakeのフォークロック、そしてNicoまで、当時の時代を反映したアーティストをプロデュースしている。

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これだけ多様のアーティストを手掛けながら、自分のサウンドスタイルを持ち込むではなく、それぞれのアーティストの個性や魅力を最大限に発揮させるような方向で見事にまとめ上げている。それは各トラックの数分の音楽を聴くだけでも伝わってくる。

収録曲では、やはり、Sandy Dennyを擁するFairport ConventionとNick Drakeの歌の説得力に耳を奪われる。初期のIncredible Strings Bandもやはりいい。

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ERIC BURDON & THE ANIMALS / TWAIN SHALL MEET (1968)

ANIMALS というと、ニューオーリンズの娼館がテーマの「朝日の当たる家」ばかりが有名で、リーダーのEirc Burdonも黒っぽい音楽を指向しているが、この1968年リリースのセカンドアルバムは、前年に参加したモンタレーポップフェステバルの影響が色濃いサイケデリックなアルバム。オープニングとなるイベントの印象を歌った「Montery」は、シタールのイントロに続いて始まる。

皆んなやって来て、音楽に聴き入る
演奏する者あり、花を渡す者あり
聴衆の上に若い神が現れ
その音楽から愛が生まれる
子供達は昼も夜も踊り
新しい宗教が生まれる
このモンタレーで

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この曲以外も反戦歌の「Sky Pilot」や「All is One」など、サイケデリックな曲が多く、管楽器やメロトロンが効果的に使われている。Summer Of Loveの時代。

JULIE DRISCOLL/1969 (1970)

Julie Driscoll は、英国のR&B、ホワイトソウルシンガーとして、オルガンのBrian Augerのグループに参加して注目を集める。ショートカットヘアーにミニのワンピースというツイッギーに通じるスイングイングロンドンスタイル。

ただ彼女自身は自分の音楽をやる目的があって、曲作り行い、後に夫となるKeith Tippettの協力のもと、当時の若手ブリティッシュジャズメンがバックアップして完成したのがこのアルバム「1969」。同じメンバーは Soft Machineの3rdや、King Crimsonの「Island」でも、大きな貢献をしている。

Kieth Tippett関連といっても、フリージャズではなく、フォークロック調の楽曲にジャズっぽいバック付く感じ。それが独特のグルーブ感があってこのアルバムを魅力的なものにしている。Eric Burdonにも通じているのは、自分の周りの世界を歌っていること。オープニングの「A New Awakening(新しい目覚め)」はこんな歌詞。

今日、私たちはいろんなことを語り合う
今日、私は、いろんなことを抱えて目が醒める
今日1日は長い混乱で始まり
解決を見出すのはとても難しい

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本作のプロデューサーは、初期GongやSoft Machineも手掛け、60年代アンダーグラウンドシーンの重要プロデューサーだった Georgio Gomelsky。

このアルバムを聴いていると、このコンセプトが後にKeith Tippettを中心とした大作「Centipede」につながっている気がする。

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こうして50年以上前の音楽を聴いていると、確かにテクノロジーは進化したが、人の営みや社会のあり方の根本はあまり変わっていない。あるいはその課題はもっと根深いのものになっているかもしれない。


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