また、bandcamp.comの話。最近仕事をしているときに、日替わりの「bandcamp daily」のプレイリストを聴くことが多い。デスクトップのスピーカーでなんとなく聴いている感じではあるが、時に仕事の手を止めて聴き入ってしまうときがある。
この「河边走 The river, Orchestration, Walkman!」という中国本土のグループの演奏を聴いた時もそう。全体がインプロビゼーションでありながら、メンバーそれぞれがスポンティニアスで、音楽への熱意に溢れた演奏が、音楽に大きなうねり、バイブレーションを与えている。それは、スピリチュアルというよりも、インテリジェンスを感じさせる。メンバーは、Guitar/Vocal/RecorderのJin、Bass/Keyboard:のJunchen、Alto saxのPongpongの3人にゲストでドラムが加わるようだ。
YouTubeには今年8月のライブ映像が上がっているが、これがまたすごかった。電球1個だけが灯された暗い部屋で黙々と演奏される。ギターのJinのボサボサ頭にミニのワンピース姿は、 Kim Gordonを彷彿とさせるし、場所を含め全体の雰囲気から漂うただならぬアンダーグラウンド感は、60年代末のESPレーベルのアーティストや吉祥寺マイナーを思い出させる。bandcampで提供されている音源は演奏をスマートフォンで録音しただけのロウファイ。でも、それが生々しい。
でも彼らの演奏は、そんな身勝手な懐古趣味を吹き飛ばし、「今」の時間の中にあることを突きつける。そう、今の中国で。世界同時多発的即興演奏!