Sound & Silence

本多重夫の音楽、オーディオ、アートなどについてのプライベートブログ

STERLING刻印とMASTERDISK刻印の話 - カッティングによるアナログレコードの音の違い

アナログレコードのレーベル面がある内側の無音部分(ランアウトとも呼ばれる)には、そのレコードに関する情報が刻印されていて、コレクターや音の良いレコードを探す人にとっては重要な情報源となっている。それはレコードが制作されるプロセスとも密接に…

学芸大学「サテライト」へ久しぶり出かけて中古レコードをいろいろ買う - David Cross, Michael Hoenig, Codes In The Clouds, Steve Marcus, Michael Mantler, Olivier Messiaen

これまで何度か書いたことのある学芸大学にある街の中古レコード屋さんの「サテライト」。去年は2か月に1度くらいは行っていたが、仕事が忙しかったりいろいろあって今年になってから初めての訪問となったが、お店はいつも通りの雰囲気。あまり変わっていな…

SRSQ / Unreal - すべてのものが暗黒の中にあっても私は太陽のからの瞬き

この1年ちょっと探していた女性シンセ、ダークウェーブアーティストのSRSQ の『Unreal』とタイトルされたレコードが入手できたのでその話を。 多くの若者、アーティストが犠牲になったゴーストシップの火災 このアルバムについて書くにはまずこの事件に触れ…

シェーンベルク、ベルク、ヴェーベルン、バッハ - 古いボックスセットのレコードを聴く

クラシックの箱物LPセットの話。ストリーミングの時代になってもロックやジャズのアニバーサリーボックスセットは手を変え品を変え登場するが、1960年代後半〜70年代後半に多かった豪華なクラシックのボックスセットは姿を消してしまったように思う。今では…

ガーゼでレコードのウェットクリーニング - 日常的な安価なクリーニング方法

レコードの日常的なメンテナンスの話。レコードと静電気、そして静電気に吸い寄せれらるホコリはいつも問題になる。このブログでも静電気除去ブラシのことを書いていて、そうしたブラシももちろんいいのだが、やはり盤面を直接拭くのが1番早い。 湿気を含ん…

Scott Walker / Bish Bosch - スコット・ウォーカーは過去を振り返らず闇の中を進む -

去年の終わり頃からScott/ Walkerの晩年のアルバムをまとめて聴いている。聴けば聴くほど深みにはまりそうな音楽で、彼の晩年のアルバムに比べたらDavid Bowieのベルリン三部作ですら当たり障りのないポップなアルバムに聴こえてくる。 多くのアーティストは…

Marantz Model 3250 再登場 - 音楽が心地よく歌うプリアンプ

仕事が詰まってしまってブログのまとまった記事が書けないのはストレスだったりするけど、レコードは相変わらずインターネットで買っていたりする。そんなこんなの中でメインで使っていたビンテージのプリアンプMarantz Model 7が不調に。 少し前からボリュ…

ECMレーベル - リバーブのつまみを握りしめた魔術師の世界

オーディオ雑誌の『STEREO』の特集が「ECMとオーディオ」だったので久しぶりに購入してみた。ECMレーベルとしての最初のリリースが1969年。それから50年を経てもオーナーのマンフレート・アイヒャーはずっと君臨し、レーベルのサウンドトーンも一貫している…

MMカートリッジの消磁を本気でやってみる - analog誌の記事「かないまる消磁レシピ」を検証

『analog誌『2022/Winter Vol.74』にカートリッジ の消磁に関する記事があったので検証してみた。この記事にもある通りカートリッジ の消磁はMCカートリッジではよく言われるが、MMカートリッジでも帯磁は音の劣化の原因になる(コイルの鉄心が帯磁する)。…

SHUREのカートリッジ を聴き続けて- 閉じ込められた過去の時間を蘇らせる

このブログを書き始めた2018年の初め頃からSHUREのカートリッジを意識してポツポツ集めて、いろいろ試行錯誤しながら聴いてみて、最近ようやく思うような音で再生ができるようになってきた。以前書いた記事と重複するところもあるが、SHUREのカートリッジ に…

2021年に手にしたアナログレコードから - 音楽は言葉では説明できないものを運ぶことができる器

去年も2020年によく聴いたアルバムの記事を書こうとしたのだけど時間切れでボツにしてしまったので、今年こそ2021年版を書いてみる。間に合うかな? 今年もアナログレコードを中心に新譜も中古も100枚近く買ったのではないかと思う。昔と買い方が変わってき…

闇の中の男 / ポール・オースター - 希望の中で生きることができるなら

今年、2021年はニューヨークでの『9.11』のテロから20年の節目。日本時間では夜の11時過ぎの出来事で多くの人がテレビでリアルタイムで2機目の衝突を目撃している。僕はその前からテレビを持つのを止めてしまっていたし、インターネットも見ていなかったので…

LOW / HEY WHAT - 黙示録的な讃美歌 - 2021年ベストアルバム

『Low』は、1993年に米国ミネソタ州で、ギターとボーカルのAlan Sparhawkとドラムとボーカルの Mimi Parkerの二人で結成されたグループ。二人にベースが加わり3人のミニマル編成で音楽は非常にゆったりとした素朴なもので、所謂ローファイの代表的なグループ…

長く暗い夜を過ごすための10の音楽 - 自分を見つめ直すためのささやかな音楽の旅

はてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選」という企画で書いてみる。僕は子供のころから暗い音楽、普通でない一風変わった音楽が好きだった。そういった音楽を聴くと安らぎ、その場所に安心していることができる。そして、そうした音楽を聴くといつも考え…

Barbara Hannigan / Vienna: Siecle - バーバラ・ハンニガン / ウィーン:世紀末 - 100年前の音楽を今の歌として歌う

Barbara Hannigan(バーバラ・ハンニガン 1971-)は、カナダ出身のソプラノ歌手で20世紀の現代音楽作品を得意とする。もちろんテクニックは素晴らしいのだが、それだけでなく作品への理解が深く表現力にも優れ、現代音楽の声楽曲がこんなに美しいものだった…

Pink Floyd / A Momentary Lapse of Reason(2019年 リミックス版) - ノスタルジーから逃れて

最近は旧譜のリマスターも一巡したのか、リミックスブームがロックやジャズのジャンルを問わず続いている。同じアルバムを何回リリースできるかギネス記録を目指しているような往年のグループの作品もあったりするほど。僕は基本的に「リミックス」ものは買…

ものがたり西洋音楽史 / 近藤 穣 - モダニズムの終焉と芸術音楽の終わり

著者の近藤 穣(1947-)は、武満徹の1世代下にあたる作曲家で、音楽的な傾向は武満徹に似ているように思う。それは線形的な音楽でミニマリズムではないが、響きは洗練された美があり、聴き手が作品との距離を自由にできる余白がある。 また、近藤 穣は著作も…

SHURE V15 Type IVをType IIIの交換針で聴く - AC3000MCのストレートアームを復活

山本音響工芸のツゲ材ヘッドシェルに取り付けて聴いていたShure V15 Type IV、どうもJICO製の楕円針が寿命なのか、最近音の伸びいまひとつ。Type IV用にJICOのSAS針を注文しようかとも考えたが、それも当たり前過ぎるしな....と考えて時間が過ぎていたところ…

Arushi Jain, Six Organs of Admittance, William Parker, Laraaji Alan Vega - 最近、AppleMusicで聴いているもの

Apple Musicがロスレス配信になってから仕事中によく鳴らしている。仕事をしながらなのでそんなに真剣に聴いているわけではないが、それでもその音にはっとするような瞬間がある。最近リリースされたものばかりではないが、そんな中からいくつかを。 Arushi …

Sunn O))) とオリビエ・メシアンの相関関係 - 響の中のメッセージに耳をすませる

少し前に米国シアトル出身のドローンメタルバンド、Sunn O))) の2009年のアルバム『Monoliths & Dimensions』の2枚組アナログ盤の中古をたまたま見かけて購入して聴いたことから始まる。Sunn O))) が所謂メタルバンド的なフォーマットでもない(ドラムがいな…

芸術の意味(The meaning of art)/ハーバード・リード - 「感情」を表現し「理解」を伝えること

古い書籍なのだが、ヘンリー・ムーアの彫刻が表紙の「芸術の意味」というちょっと大袈裟なタイトルのついたこの本が気になったので手に入れて読んでみた。 著者のハーバード・リードは英国人で、本国では1931年の出版。BBCの雑誌に連載していた造形芸術論の…

Arte Concert - 様々な音楽が、様々なアーティストから生まれくることを目撃する

普段はあまりYouTubeを見ないのだけど、偶然この「arte concert」 というライブシリーズを見て、どれも刺激的で啓発されるものがあった。調べてみると、arte.tv というEUのファンディングを受けている組織の文化事業のようで、アートやフィルムの他、オペラ…

Tangerine Dream / The Sessions II & III - 誰もいなくなってもグループ名は残り、そしてスピリットが継承された

Tangerine Dreamの創設者でその精神的、音楽的中核でもあったEdgar Froseが亡くなったのが2015年。もうグループは活動停止だろうと思っていたら残った3人のメンバーで復活。その新生Tangerine Dreamのインプロビゼーションの演奏だけを集めたライブ音源シリ…

Turiya Sings / Alice Coltrane - 無神論者の心にも響く歌声

僕は特定の宗教に何も属さない、欧米人の価値観からすると無神論者。そのくせ宗教に関わる音楽、祈りのための音楽には強く惹かれたりする。それはグレゴリオス聖歌であったりロシア正教会の音楽だったり、バッハやシャルパンティエ、デュファイといった古典…

音楽を探し求める方法 - 音楽やアートはファシズムでもジャムでもない

レコードだった時代にはジャケットデザインを見ながらな中身の想像を含まらせて(勝手な妄想とも言えるが)買ってしまう「ジャケ買い」という行為があった。僕も当然その世代で数限りない「ジャケ買い」を繰り返し、思った通りのもの、大外れのもの、いろい…

Apple Music ロスレスストリーミングを聴く- 音質だけでなく音楽体験の質が高まる

ロスレスストリーミングになったApple Music。いろいろと聴いて確かに音質が向上しているし、これまでのそこそこ音の良いBGMというか、気になるアルバムを試聴してチェックする用途から、音楽を真剣に聴く、鑑賞に耐えるものとなった。 もちろん全てが素晴ら…

Apple Music ロスレスストリーミングを聴く- 準備・設定編

Apple Music ロスレスストリーミングが始まってからいろいろ聴いてみて想像以上に品質が良く、これだけ高品質の音源が月額980円で提供されるのは、ハイファイグレード音源の民主化ともいえそうだ。 Apple Musicのロスレスとは? ハイレゾである意味は? ロス…

WATER / Helene Grimaud - ゆく河の流れは絶えずして しかも もとの水にあらず

Helene Grimaud(エレーヌ・グリモー) は1969年生まれのフランス人ピアニスト。ピアニストであるだけでなく、絶滅危惧種を保護する活動家でもあり、ニューヨークでWolf Conservation Centerの設立にも関わっていて、またライターでもある、というように社会…

映画『悪の寓話(Favolacce)』- 絶望への反逆は静かに始まる

毎年この時期はイタリア映画祭があり新作、旧作が上映される。昨年と今年はパンデミックの影響でオンラインの有料上映があり何本か見てみた。僕の中でのイタリア映画は、フェリーニ、ヴィスコンティ、アントニオーニ、パゾリーニといった監督のものは熱心に…

Double Negative / Low - ノイズの向こうから聴こえる聖歌

以前から気になっていたLowの2018年のアルバム『Double Negative』のアナログ盤がまだ残っているのを見つけたので購入。当然のことなのだけど、AppleMusicで聴いているときとは音楽の深度や強度が大きく違う。やはりこうした音楽はできればアナログ盤で、無…


© 2019 Shigeo Honda, All rights reserved. - 本ブログの無断転載はご遠慮ください。記事に掲載の名称や製品名などの固有名詞は各企業、各組織の商標または登録商標です。