少し前にライブの映像を見てから注目していたclaire rousay、 ニューアルバムの「sentimentl」は高い評価を得ている。全体のトーンは、そのライブと同じように声やフィールドレコーディングを含むアンビエントなサウンドに、ソフトでフォーキーな彼女の低い歌声が漂っていく。それが、ただ流れていくのでなく、妙な色気というか気配が強い印象を聴くものに残していく。
最近のライブ映像も同じようなトーン。机一つで1人だけのアマチュアっぽいライブなのも逆に新鮮なのかもしれない。それより面白いのは、Macbookからまだ最後の部分の音楽を流しているのに、さっさと不要になったケーブルを外してしまったり、ギターを片付けてしまうこと。観客無視というか、そんなことには頓着しないのだろう。
彼女の音楽のユニークなところは、その音楽が作品として完結しているのでなく、聴き手の感情をキックして揺さぶることで、聴き手一人一人の中にエモーショナルな風景を描き出すことにあるように思う。それが偶然に生まれたものかどうかは分からない。カタリストとしての音楽。