Sound & Silence

本多重夫の音楽、オーディオ、アートなどについてのプライベートブログ

Classic

All Life Long / Kali Malone - 単に美しいだけではすまされない音楽

最近よく聴いているKali Maloneの新しいアルバムの話。 あるアーティストの作品を聴き続けていて、ある時、それとは離れた存在と思って聴いていたアーティストとコラボレーションで結びつくことがある。同じ人間が聴いているわけだから、何らのベクトルが似…

二度目の関内のDisk Union - Hawkwind、Paul Giger、Brian Auger、Radian etc - 気の向くまま

また所用で横浜方面に出かけたので関内のDisk Unionを再訪問。結局リアルな店舗での買い物は、前回この店に来て以来。でも、ショップに入っても以前のような高揚感のようなものは感じなくなっている自分がいる。もう、あれもこれも聴いてみたいは、ストリー…

Einstein on the beach / Philip Glass - 大晦日の新しい習慣にしたい

フィリップ グラスの『Einstein on the beach(浜辺のアインシュタイン)』は、1976年に初演された3時間半位およぶ4幕のオペラというか音楽劇で、ミニマルミュージックの大きな可能性を開花させた革新的で歴史的な作品。初演から50年近い時間を経て、ようや…

512 / William Eggleston - 黄昏時の美しさ

以前、記事に書いたアメリカを代表する写真家、William Egglestonのまさかのセカンドアルバムがリリースされた。1枚目はKorg M1をバッハ風のフリーフォームで弾いていくものだったが、この2枚目は最初の1曲以外はスタンダードナンバーを、それもかなり自由に…

関内のDisk Unionでの買い物 - Mick Karn、Keith Jarret、Velvet Underground etc. 古いもの、探していたもの

1ヶ月ほど前に所用で横浜方面に出かけた時に、初めて関内のDisk Unionに寄ってみた。平日だったけど年配のお客さんが多いのは同じ店舗内にJAZZ館エリアがあるからか。壁には数万円〜10万円以上の価格のジャズアルバムが並んでいた。以前訪れた日本のハードコ…

Ornette Coleman, Lou Reed, IF, Mal Waldron etc. - 中古のCDは買い時かもしれない

最近手に入れたMarantz CD-34が気に入ってしまいCDを聴くことがずっと増えた。それもあって、気になっていたタイトルをDiskUnionの通販で購入してみた。CDはレコードに比べると安い。最新のリマスタ再発でなく1世代前のリマスタ再発や旧盤だと500〜600円位か…

Bandcamp で聴くコンテンポラリークラシック - 現在進行形の現代音楽

Bandcampは、新しいアーティストや音楽との出会いの場であるわけだが、それはロック系だけでなく、ジャズ、フリージャズ、インプロビゼーション、コンテンポラリークラシックまで広いジャンルに渡っていて、Bandcamp全体が今日的な音楽カタログ的な役割を果…

DJー44G - ナガオカの新しいM44G互換針 - 全ては音楽とその聴き手のために。

レコード関連用品の老舗であるナガオカから新しいM44G互換針が発売になった。価格は4,480円と手頃。以前からナガオカはSHURE M44G、M75EBなどの互換交換針を提供していたので、今回は再登場となる。JICOのM44Gの互換針は16,000円以上するダイヤモンド無垢針…

Reflections / Hoshiko Yamane - 歩みを止めるわけにはいかない。日々は続いていくのだから。

仕事が忙しくなってきたり、体調が今ひとつなときは、レコードよりもストリーミングサービスに依存することが多くなり、最近リリースされたものをポツポツと聴いていく。そんな中で出会って、最近ヘヴィローテーションとなっているのが、この山根星子の『Ref…

RCA Victor - LIVING STREO - 音の良いクラッシックレコード - 異国の地で母国を想う

学芸大学の中古レコードのお店「サテライト」に寄ったら、オーディオファイル向けの高音質クラシックレコードがどっさりあって、RCA VictorのLIVING STEREOシリーズの再発盤からこの2枚を選んだ。 RCA VictorのLIVING STEREOシリーズとは このLIVING STEREO…

William Eggleston / MUSIK - 誰のためでもない自分のための即興演奏

自分が60歳を超えて「老人」の域に向かっていると、老人となった先輩達が何をしているかが気になってくる。 若い頃は、芸術家の晩年は活力を失ったノスタルジアばかりではないか、思っていた。 『叫び』で有名なムンクの晩年の作品には、もうノイローゼや強…

ベートーヴェン/後期弦楽四重奏曲 - 耳が聞こえなくなった作曲家の音楽

ベートーヴェン(Ludwig van Beethoven 1770 - 1827)は学校の音楽室にこのジャッケットのような胸像が飾ってある大作曲家。年末なれば「第九」の「歓喜の歌」のメロディが流れてくる。ドイツを除けば日本ほど第九が好まれている国はないだろう。元はドイツ…

学芸大学「サテライト」へ久しぶり出かけて中古レコードをいろいろ買う - David Cross, Michael Hoenig, Codes In The Clouds, Steve Marcus, Michael Mantler, Olivier Messiaen

これまで何度か書いたことのある学芸大学にある街の中古レコード屋さんの「サテライト」。去年は2か月に1度くらいは行っていたが、仕事が忙しかったりいろいろあって今年になってから初めての訪問となったが、お店はいつも通りの雰囲気。あまり変わっていな…

シェーンベルク、ベルク、ヴェーベルン、バッハ - 古いボックスセットのレコードを聴く

クラシックの箱物LPセットの話。ストリーミングの時代になってもロックやジャズのアニバーサリーボックスセットは手を変え品を変え登場するが、1960年代後半〜70年代後半に多かった豪華なクラシックのボックスセットは姿を消してしまったように思う。今では…

Barbara Hannigan / Vienna: Siecle - バーバラ・ハンニガン / ウィーン:世紀末 - 100年前の音楽を今の歌として歌う

Barbara Hannigan(バーバラ・ハンニガン 1971-)は、カナダ出身のソプラノ歌手で20世紀の現代音楽作品を得意とする。もちろんテクニックは素晴らしいのだが、それだけでなく作品への理解が深く表現力にも優れ、現代音楽の声楽曲がこんなに美しいものだった…

SHURE V15 Type IVをType IIIの交換針で聴く - AC3000MCのストレートアームを復活

山本音響工芸のツゲ材ヘッドシェルに取り付けて聴いていたShure V15 Type IV、どうもJICO製の楕円針が寿命なのか、最近音の伸びいまひとつ。Type IV用にJICOのSAS針を注文しようかとも考えたが、それも当たり前過ぎるしな....と考えて時間が過ぎていたところ…

Sunn O))) とオリビエ・メシアンの相関関係 - 響の中のメッセージに耳をすませる

少し前に米国シアトル出身のドローンメタルバンド、Sunn O))) の2009年のアルバム『Monoliths & Dimensions』の2枚組アナログ盤の中古をたまたま見かけて購入して聴いたことから始まる。Sunn O))) が所謂メタルバンド的なフォーマットでもない(ドラムがいな…

Apple Music ロスレスストリーミングを聴く- 音質だけでなく音楽体験の質が高まる

ロスレスストリーミングになったApple Music。いろいろと聴いて確かに音質が向上しているし、これまでのそこそこ音の良いBGMというか、気になるアルバムを試聴してチェックする用途から、音楽を真剣に聴く、鑑賞に耐えるものとなった。 もちろん全てが素晴ら…

WATER / Helene Grimaud - ゆく河の流れは絶えずして しかも もとの水にあらず

Helene Grimaud(エレーヌ・グリモー) は1969年生まれのフランス人ピアニスト。ピアニストであるだけでなく、絶滅危惧種を保護する活動家でもあり、ニューヨークでWolf Conservation Centerの設立にも関わっていて、またライターでもある、というように社会…

ピーター・ゼルキン / The Complete RCA album Collection - ある演奏家の音楽の旅

ピーター・ゼルキンのこと ピーター・ゼルキン(Peter Adolf Serkin 1947-2020)は米国のピアニストで父親のルドルフ・ゼルキンも著名なピアニスト。グレン・グールド(1932 - 1982)よりも一世代若い。ともに米国人のピアニストらしく、ヨーロッパの伝統の…

不時着する流星たち / 小川洋子 - エリック・サティを聴きながら、ゆっくりと悲しさをこめて

以前感想を書いた『密やかな結晶』の小川洋子の短編集『不時着する流星たち 』。この本は、実在する社会では少し変わった存在だった人物にインスパイアされて、それぞれの物語が紡がれていく。 例えば、一人で「ヴィヴィアン・ガールズ」が活躍する巨大な長…

ミュージック / 「現代音楽」をつくった作曲家たち - ハンス・ウルリッヒ・オブリスト著

本書の原題は『A Brief History of New Music(新音楽小史)』というもので、この原題のほうが本書の性格をよく現している。シュトックハウゼン、ブーレーズ、クセナキスといった戦後の現代音楽の大家からスティーブ・ライヒ、テリー・ライリーといったミニ…

John Cage / Sonata & Interludes for Prepared Piano - 喧騒の時代の小さな音の音楽

もう長い間、 John Cage(ジョン・ケージ)の『プリペアドピアノのためのソナタとインターリュード』という作品は、僕の愛聴盤で、疲れた夜更けに聴くと心が安らぐ。静かで、聴き手の感情に絡むような人懐っこいメロディはなく、非西欧的な響きで、断片的な…

Folke Rabe / Wass?? - 美しい音の壁紙

Folke Rabe(フォルケ・ラーベ)の『Wass??』と書くと、「ああ。あれね」と思う人も少なくないかも。一種カルト的な存在の作品。おそらく現代音楽の中でよりも、先鋭的なロックファンによく知られているかもしれない。 1935年の生まれのストックホルムの作曲…

ハイファイ堂レコード店の閉店セールでまとめ買い - バーゲンの罠に進んでハマってみる

ここ数年はオンラインで中古のオーディオ製品や中古レコード、CDの購入で利用していた名古屋を本拠とする「ハイファイ堂」のレコード店が(新型コロナウイルスで来客が減ったことも関係しているのか)GW中に突然5月末で閉店とのアナウンス。それで全品50%OF…

Crala Haskil / Konzerte Fur Kavier und Orchestra - ありのままのモーツァルトのピアニズム

僕はあまりモーツァルトは聴かない。嫌悪しているわけではないが存在が絶対視されてしまっていて、クラシック界のビートルズ的な存在であり、批判や異議申し立てを受け付けてくれないからだ。ベートーヴェンにもそうしたところがあるが、映画『レオン』の中…

Iannis Xenakis / Persephassa - 過去が未来であり、現在が永遠であること

僕にとっての「現代音楽」は、ロックやフリージャズと並行してずっと身近なところにあって良く聴いてきた。一番の理由はNHK-FMであった上波渡氏の「現代の音楽」を聴いていたこと。 NHK-FM「現代の音楽」という番組 番組はバッハ=ウェーベルンの「6声のリチ…

Kali Malone / Keith Jarret / Earth / Thom Yorke- 最近のApple Musicから

Apple Musicは未知の音楽と出会える場所としては面白い。時々、ジャンル別に新譜を眺めて聴いてみると思わぬ発見があったりする。最近、夜寝るときや仕事や本を読む時のBGMとしてアンビエント、ドローン系の音楽をよくかけている。アンビエントといっても、…

いろんなジャンルの中古レコードを購入 - レコードを聴いていると考えさせられることも多い

学芸大にある中古レコード店「サテライト」。歩いて片道30分ほどなので月に1回程度散歩を兼ねて訪ねている。そのくらいのペースがちょうどいいのか、毎回色々と購入してしてしまう。お店のサイズ感も僕にもあっているのかもしれない。今回はいろんなジャンル…

パブロ カザルス / バッハ無伴奏チェロ組曲 - 80年前と変わらぬ今

ほぼ毎日、レコードラックからレコードを何枚か出してバキュームクリーナーでクリーニングして聴いてみることを繰り返している。2000枚近い枚数があるので、ようやく半分を超えたところ。10年ぶり、20年ぶりに聴いてみるレコードも少なくない。久しぶり聴く…


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