Sound & Silence

本多重夫の音楽、オーディオ、アートなどについてのプライベートブログ

二度目の関内のDisk Union - Hawkwind、Paul Giger、Brian Auger、Radian etc - 気の向くまま

また所用で横浜方面に出かけたので関内のDisk Unionを再訪問。結局リアルな店舗での買い物は、前回この店に来て以来。でも、ショップに入っても以前のような高揚感のようなものは感じなくなっている自分がいる。もう、あれもこれも聴いてみたいは、ストリーミングサービスで解消できるし。気の向くまま今回選んだのは、こんなアルバム。中古CDは安い。

Paul Giger / Schattenwelt (1993)

Paul Giger(1952–)は、スイス出身のバイオリニスト、作曲家でECMから多数のアルバムをリリースしている。この「Schattenwelt(Shadow world - 影の世界)」とタイトルされた1993年のアルバムは彼のバイオリンソロのみの演奏。ミニマルなところはあるが穏やかではなく、彼の音楽には宗教的で求道的な厳しさがある。それは、このビデオ映像からも伝わってくる。

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Stephan Micus / Desert Poems (2001)

Stephan Micus( 1953-)はドイツ出身で、彼もECMから多数のアルバムをリリースしている。中近東、アジア、北アフリカの民族楽器を演奏しつつ、僧侶の巡礼の旅の音楽といった架空の音世界を創造している。それらはECMからリリースされていることからも分かるように、土着の音楽の装いではなく、非常に洗練されたものになっている。しかし、ムード音楽的なニューエージに陥らないのは、このビデオからも伝わってくる神秘主義的な側面があるからだろうか。

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Philip Glass / Violin Concerto (1993)

バイオリンのギドン クレーメルとドホナーニ指揮のウィールフィルによる、フィリップ グラスのバイオリン協奏曲と旧ソビエト出身のシュニトケのコンチェルトグロッソを収録したCD。オーケストがしっかりしているので品位と風格がありながら、保守的にはならない表現はクレーメルとドホナーニの手腕。ミニマルブームで、グラスは有名になったが、同世代のシュニトケももっと聴かれていい作曲家だと思う。

YouTubeでこのフィリップ グラスのバイオリン協奏曲を若いオーケストラと独奏者で演奏する映像があった。フレッシュでいい演奏。こんな風に作品が世代を超えて弾き継がれていくのだろう。

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Brian Auger & Trinity / BEFOUR (1969)

Brian Auger (1939 -)は、英国を代表するジャズ、ロックのオルガン奏者。荒々しいハモンドオルガンのトーンを活かした1960年代のモッズ、スインギングロンドン時代を象徴するようなサウンドを生み出していた。僕自身は、ハモンドオルガンの演奏を聴くのは大好きだが、あまり自分で弾きたいとは思わない。あのアグレッシブな音は合わない気がする。むしろ、ファルフィサやウーリッツアーオルガンを弾いてみたい。

Brian Augerはカバーが得意で、このアルバムでもSly & Family Stoneの『I wanna take you higher』からクラシックでは、フォーレの『パバーヌ』、バッハの『アダージョ』をラウンジっぽいアレンジで聴かせる。このCDはリマスタリングの割に音が良くない。当時の擬似ステレオをマスターにしているような気がしたので、アンプでモノにして再生するとずっと聴きやすくなるのでそうかもしれない。

当時の演奏風景は映像でも見ることができる。

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Radian / Juxtaposition (2004)

これはずっと探していたものを偶然見つけた。Radianはウィーンを拠点とするアバンギャルドなポストロックグループ。ドラム、パーカッションに不穏なエレクトロニクス処理されたサウンが絡んでいく。一度聞いたら忘れない強い個性を持っている。2枚のアルバムをリリースした後、活動を停止したようだが、最近新作もリリースしている。僕の中では重要なバンドのひとつ。

Hawkwind / Space Ritual (1973 / 2013 Remaster)

英国のスペース サイケデリックバンド Hawkwindの1972年の『Space Ritual(宇宙の祭典』ツアーからライブ盤。後にMortoheadを結成するLemmyのベースとSimon Kingのドラムが強烈なビートを刻み、その上にファズギター、サックス、2台のシンセサイザーとオシレータの電子音響が飛び交うという目(耳)が眩むような音響体験がもたらされる。サイケデリックなライトショーやボディペインティングをしたヌードダンサーの演出も一体化したマルチメディアショーだったので、映像として保存されていないのは残念。

このアルバムがリリースされた当時、毎日、毎日、これしか聴かないという日々があった。昨年50周年記念で全てのライブを収録したCD10枚組のボックスセットもリリースされているせいか、2013年のリマスタリング2枚組は中古が安くなっていた。CDで聴くと、レコードのように片面でレコードをひっくり返す手間がないので、こうした連続して演奏されるライブでは音楽の流れがいい。今聴いても圧倒される。

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Tangerine Dream / Cyclone (1978)

これは中古レコード。人気のないアルバムだけに英国オリジナル盤ながら850円だった。パンクブーム只中の1978年ごろは、プログレッシブロックにとっては変遷を余儀なくされた時期でもある。教会でライブを行うなど、神秘主義的な電子音楽路線だったTangerine Dreamも例外ではなかった。そうした状況を、Peter Baumanの脱退の後、ボーカル、フルート、キーボードのSteve Jolliffeとドラマーを加えることで、打開しようと歌入りに挑戦したアルバム。

当然、既存ファンからの反発は強く、ツアーも不評で、早々に歌物は封印し、従来かのインスト中心、インプピロビゼーションに回帰するが、それは以前のような神秘主義的なものではなく、もっとハードなものに変わっていた。その後のよりリズムを前面に押し出したサウンドへの転換点にもなっている。

ファンには不評でも個人的には当時も今も好きなアルバム。Tangerine Dreamというイメージを外せば、、シンセ、ニューウェーブのアルバムとして聴くと好作品ではないかと思う。

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新年の買い物がこんなものでよかったのかどうか?
新年ということに何のこだわりもないけれど。


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