Sound & Silence

本多重夫の音楽、オーディオ、アートなどについてのプライベートブログ

Records

LOW / HEY WHAT - 黙示録的な讃美歌 - 2021年ベストアルバム

『Low』は、1993年に米国ミネソタ州で、ギターとボーカルのAlan Sparhawkとドラムとボーカルの Mimi Parkerの二人で結成されたグループ。二人にベースが加わり3人のミニマル編成で音楽は非常にゆったりとした素朴なもので、所謂ローファイの代表的なグループ…

Barbara Hannigan / Vienna: Siecle - バーバラ・ハンニガン / ウィーン:世紀末 - 100年前の音楽を今の歌として歌う

Barbara Hannigan(バーバラ・ハンニガン 1971-)は、カナダ出身のソプラノ歌手で20世紀の現代音楽作品を得意とする。もちろんテクニックは素晴らしいのだが、それだけでなく作品への理解が深く表現力にも優れ、現代音楽の声楽曲がこんなに美しいものだった…

Pink Floyd / A Momentary Lapse of Reason(2019年 リミックス版) - ノスタルジーから逃れて

最近は旧譜のリマスターも一巡したのか、リミックスブームがロックやジャズのジャンルを問わず続いている。同じアルバムを何回リリースできるかギネス記録を目指しているような往年のグループの作品もあったりするほど。僕は基本的に「リミックス」ものは買…

SHURE V15 Type IVをType IIIの交換針で聴く - AC3000MCのストレートアームを復活

山本音響工芸のツゲ材ヘッドシェルに取り付けて聴いていたShure V15 Type IV、どうもJICO製の楕円針が寿命なのか、最近音の伸びいまひとつ。Type IV用にJICOのSAS針を注文しようかとも考えたが、それも当たり前過ぎるしな....と考えて時間が過ぎていたところ…

Tangerine Dream / The Sessions II & III - 誰もいなくなってもグループ名は残り、そしてスピリットが継承された

Tangerine Dreamの創設者でその精神的、音楽的中核でもあったEdgar Froseが亡くなったのが2015年。もうグループは活動停止だろうと思っていたら残った3人のメンバーで復活。その新生Tangerine Dreamのインプロビゼーションの演奏だけを集めたライブ音源シリ…

Turiya Sings / Alice Coltrane - 無神論者の心にも響く歌声

僕は特定の宗教に何も属さない、欧米人の価値観からすると無神論者。そのくせ宗教に関わる音楽、祈りのための音楽には強く惹かれたりする。それはグレゴリオス聖歌であったりロシア正教会の音楽だったり、バッハやシャルパンティエ、デュファイといった古典…

WATER / Helene Grimaud - ゆく河の流れは絶えずして しかも もとの水にあらず

Helene Grimaud(エレーヌ・グリモー) は1969年生まれのフランス人ピアニスト。ピアニストであるだけでなく、絶滅危惧種を保護する活動家でもあり、ニューヨークでWolf Conservation Centerの設立にも関わっていて、またライターでもある、というように社会…

Live at Knebworth 1990 / Pink Floyd - 30年前のライブを高音質45回転LP2枚組で聴く

昨年発売された『The Later Years』の2枚組LPにも一部が収録され、同タイトルのBOXセットにはCDで収録されていた1990年6月30日のKnebworth Festivalでの演奏が今回『Live at Knebworth 1990』として、高音質45回転LP2枚組というベストなフォーマットでリリー…

LITTLE BIG BAND LIVE AT TUBBY’S / 75 DOLLAR BILL - 音楽が生まれる場所

少し前に紹介したニューヨークのグループ、75 DOLLAR BILLのライブ盤『LITTLE BIG BAND LIVE AT TUBBY’S 』のアナログ2枚組が届いた。アナログで聴くとデジタルファイルとは随分印象が違って演奏が生々しい。 このユニットの紹介は前回の記事を参照していた…

OYAG Soundのレコードクリーニング液をバキュームクリーナで使う

レコードをクリーニングにするのにバキューム式の初代クリーンメートをずっと使っているが、そのクリーニング液をどうするかが課題。最初は純正を使っていたが、かなりの枚数(約2000枚)があるのでランニングコストと品質とのバランスを考える必要があり、…

不時着する流星たち / 小川洋子 - エリック・サティを聴きながら、ゆっくりと悲しさをこめて

以前感想を書いた『密やかな結晶』の小川洋子の短編集『不時着する流星たち 』。この本は、実在する社会では少し変わった存在だった人物にインスパイアされて、それぞれの物語が紡がれていく。 例えば、一人で「ヴィヴィアン・ガールズ」が活躍する巨大な長…

マルゲリータ / レコードスタンド - アルバムカバーアートを鑑賞しならが聴く

レコードをかけているときに、アルバムジャケットをのせて置くいいスタンドはないかとしばらく前から探していた。昔はよくレコード店のレジの近くで「只今再生中のレコード」としてジャケットが立てかけられていた、そんな感じのもの。 ただ、プラスチックや…

John Cage / Sonata & Interludes for Prepared Piano - 喧騒の時代の小さな音の音楽

もう長い間、 John Cage(ジョン・ケージ)の『プリペアドピアノのためのソナタとインターリュード』という作品は、僕の愛聴盤で、疲れた夜更けに聴くと心が安らぐ。静かで、聴き手の感情に絡むような人懐っこいメロディはなく、非西欧的な響きで、断片的な…

47 研究所の豚皮ターンテーブルシート - 厚さ1ミリの魔法のシート

使い始めてから30年以上になるMicro製のアナログプレーヤー BL-77とトーンアームのAudio Craft AC-300MC。最初に購入したときからほとんど変わらず、アルミのターンテーブルの上に重量3kgの銅板ターンテーブルシートを敷いて、さらに純正の900gのスタビライ…

Julianna Barwick / Healing is a miracle - 深い傷を負わないものに深い癒しはない

このJulianna Barwickを最初に知ったのもNPR.orgのアルバム紹介だった。2011年にリリースされた彼女のファーストアルバム『The Magic Place』。そのアムバムは深いリバーブの中で単純なメロディを素朴に歌う声が執拗なほどに多重処理されることで、声がエー…

Patti Smith / Radio Ethiopia - 詩人の痩せた女の声が頭の中で鳴り響く

今振り返ると、Patti Smith(パティ・スミス)とはいったい何者だったのだろう? 何年か前にボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞したときに授賞式だったかで、緊張した面持ちでディランの曲を歌う彼女の姿は僕が昔聴いていたパティ・スミスとは全く別人の…

Zola Jesus / OKOVI - 暗闇が白い光につつまれるとき

僕が Zola Jesusの存在を知ったのは10年ほど前 、NPR.orgでの新譜紹介でだった。「Conatus」というアルバムで、音楽的にはエレクトロニックで神秘的なところがあり、最初の印象はSiouxsie and the Bansheeds の Siuoxsie Siouxそっくりの歌声で曲調も似たよ…

Cardas Frequency sweep and burn-in record - システムのリフレッシュもできるオーディオチェックレコード

オーディオシステムのチェック用レコードはいろいろあるが、僕が長年使っているのがこの『Cardas Frequency sweep and burn-in record』。内容は、1KHz音や20Hzから30KHzまでの連続スイープ音など周波数を変えての信号音や正相、逆相のチェック信号が詰まっ…

Silver Apples / Silver Apples - 「新しい都市の音楽」を響かせる

Silver Applesは「テクノミュージックのゴッドファーザー」的に語られることが多いが、僕は同感できない。それは表面的なこじつけに過ぎなくて、Silver Applesの本質的な革新性や芸術性を矮小化してしまう危険があるように思う。Miles Davisの『Bitche's Bre…

SK-III vs. アナログリラックス - レコード除電ブラシをうまく使いたい

アナログレコードを聴くときにやっかいなのは、パチパチという静電気。ホコリを吸い寄せるし、再生する音にも影響が出そう。持っているレコードはバキューム式のレコードクリーナーで洗浄すると静電気はある程度落ち着くし、洗浄後は静電気が発生しにくいよ…

Folke Rabe / Wass?? - 美しい音の壁紙

Folke Rabe(フォルケ・ラーベ)の『Wass??』と書くと、「ああ。あれね」と思う人も少なくないかも。一種カルト的な存在の作品。おそらく現代音楽の中でよりも、先鋭的なロックファンによく知られているかもしれない。 1935年の生まれのストックホルムの作曲…

Brian Eno / Rams - イーノの久々のサウンドトラック - 2020年レコードストアディの買い物

『Record Store Day(レコードストアディ)』というのは、元々は2007年4月に米国の地方都市のレコードストアコミュニティで始まったイベントでショップでアーティストやファンが交流するものだったが、翌2008年からはレコードストアディのための特別なアルバ…

David Crosby / If I could remember my name .... - 祈りと復活の音楽

その存在や内容、評価は知っていても実際に聴いたことのないアルバムというのが何枚もある。興味が持てなかったり、そのアルバムやアーティストに対してバイアスを持っていたり、その理由はさまざま。このデビッド・クロスビーのファーストソロアルバムもそ…

SHURE M44Gカートリッジを木製ハウジングに入れ替える - 自然な響きを聴かせてくれる

SHURE M44Gカートリッジは今更説明が不要だろう。近年はDJプレイ用として人気だったが、本来は1960年代に手頃なステレオ向けハイファイカートリッジとして発売されたもので、製造は終了したが登場から50年以上経った今でもそのエネルギー感溢れるサウンドは…

Kraftwerk / Trans Europa Express - クラフトワークはドイツ語で聴かないと

このエントリーを書こうとしばらく前に思ったら創設メンバーのラルフ・フッター(Ralf Hütter)が亡くなり、追悼記事がたくさん出て、それに便乗するような印象となるのも嫌だったのでちょっと時間を置いていた。 そもそもKraftwerkは、ラルフ・フッターとフ…

四人囃子 / 一触即発 - 狂った初夏の陽射し

日本のロックを聴かないかというと、そうではない。一番初めはTVで見たモップスから外道、遠藤賢司、コスモスファクトリー、フラワートラベリングバンド、PYG、裸のラリーズや東京ロッカーズの頃は、フリクション、ヒカシュー、自殺、8 1/2、ボルシー、プラ…

ハイファイ堂レコード店の閉店セールでまとめ買い - バーゲンの罠に進んでハマってみる

ここ数年はオンラインで中古のオーディオ製品や中古レコード、CDの購入で利用していた名古屋を本拠とする「ハイファイ堂」のレコード店が(新型コロナウイルスで来客が減ったことも関係しているのか)GW中に突然5月末で閉店とのアナウンス。それで全品50%OF…

Ultravox! / Ha!-Ha!-Ha! - ささくれた心に染み込むサウンド

70年代英国パンクロックムーブメントというと、Sex Pistols が余りにも有名だが、ピストルズはファンションブティックのオーナー、マルコム・マクラーレンが仕掛けた所謂ブランドアンバサダーを目的とするロックバンドを出自としているのに過ぎないのではな…

Crala Haskil / Konzerte Fur Kavier und Orchestra - ありのままのモーツァルトのピアニズム

僕はあまりモーツァルトは聴かない。嫌悪しているわけではないが存在が絶対視されてしまっていて、クラシック界のビートルズ的な存在であり、批判や異議申し立てを受け付けてくれないからだ。ベートーヴェンにもそうしたところがあるが、映画『レオン』の中…

Giuseppi Logan / MORE GIUSEPPI LOGAN - ジュゼッピ・ローガンの自由な世界

芸能や芸術家と薬物の関係には長い歴史がある。フランスの作家、ジャン・コクトーはアヘン中毒だったし、ビート作家のウィリアム・バロウズは死ぬまでコカイン、ヘロイン中毒だった。バロウズは「適量のヘロインを取り続けると決して風邪をひかない」とまで…


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