最近、パイプオルガンを使用するアーティストが増えている気がする。Kali MarinoやPetra Hermanovaもそうだし、このAnna von Hausswolffもそう。Kali MarinoやAnna von Hausswolffは、単に音素材としてパイプオルガンを使用するだけでなく、実際の教会でライブも頻繁におこなったり、オルガンフェスティバルに招聘されたりもしている。
この、Anna von Hausswolffを知ったのは最近のことで、偶然このビデオを見たことが始まり。教会のパイプオルガンを弾きながら力強く歌い上げる。
2016年のパイプオルガンでの演奏 youtu.be
Anna von Hausswolffは、1986年生まれのスウェーデンのアーティストで、父親は現代音楽作曲家のCarl Michael von Hausswolff。彼女の音楽スタイルは、ゴシック、ポストロック系というところか。スウェーデンでは著名なアーティストのようで、ノーベル賞受賞者の公式パーティで歌ったりもしているようだ。教会でのライブツアーでは、彼女の曲に悪魔崇拝のものがあるとして、ライブの中止を求めるデモ隊とトラブルもあったようだ。
最新作はパイプオルガンの作品だったが、パンデミック前の2018年にはフルバンドでのツアーを行い、モントルージャズフェスティバルにも出演している。購入したのは、その時の演奏を収めたアナログ2枚組。この日の演奏の何曲かは映像でも見ることができる。
かなりハードなポストロックで、彼女の一途な音楽への投入感が、バンドメンバーやオーディエンスを巻き込んで、大きなうねりを生み出している。スタイルは違っても、この「音楽への投入や陶酔感」が、近年のアーティストのトレンドなのかもしれない。
うまい説明ではないかもしれないが、例えば、Joy Division や This Heatの音楽は、「彼らの音楽」として、そこにあって、「聴き手としての私」とは区分されていけど、最近の音楽はその区分を曖昧にして溶かしてしまい、過去の土着の音楽に備わっていたような、「あなたも私も同じ音楽の中で一体化する」ことを強く促しているように感じる。それは、僕には(世代的にか?)ちょっと違和感を抱くところがあるが、ポストレイブムーブメントの世代には当然のなのだろうか?
最近のオルガンによる作品でも同じ傾向はある。音楽しては僕の好みであることは間違いないのだけど。クリスマスの夜の新しい音楽。