Sound & Silence

本多重夫の音楽、オーディオ、アートなどについてのプライベートブログ

DOORS、MUSIC MACHINE、JANIS JOPLIN、ROGER WATERS etc. - なんだか中古のCDは安くてよい

相変わらずCDを買っている。別に前衛ばかりでなく、オールドロックのCDも。少し前にもカケハシレコードのサイトで バーゲンをしていたので、500円から800円くらいものばかり少しまとめて買ってみた。

MUSIC MACHINE/TURN ON (2007 remaster)

Music Macchineは、1966年から1968年まで活動したLAのガレージロックバンド。時代的には日本のグループサウンズに近いかもしれない。ハードでリズムが太い、コンボオルガンが入った洗練されたサウンドで、「ドアーズ以前のドアーズ」と言われたりもしている。メンバー全員黒いタートルネック、片手には黒い革手袋というファッション。

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キズが多いモノラルオリジナルLPも持ってるが、ステレオミックス+モノラルミックス+シングルのCDなので購入。CDらしい整理された音になっているが、この時代特有の妖しさは健在。

DOORS/L.A.WOMAN (2011 remaster)

今回の一番の買い物はこれだった。ドアーズ最後のスタジオアルバムの40周年2枚組。ライノレーベルらしい趣向で、1枚はオリジナルアルバムのリマスター、もう1枚はアルバムと同じ曲順に並べたスタジオアウトテイク。当時のドアーズはジムモリソンのステージ上での奇行が原因で米国内ではツアーができず、ワイト島のライブなどは数少ない機会だった。

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このレコーディング時は、人間関係を始めバンドの状態は良好とは言い難いものだっただろうが、このスタジオアウトテイクの荒々しい演奏は、まだこのバンドに音楽のマジックが残っていることを証明している。いつもならアウトテイクには否定的なのだが、これは手抜きのない本気のスタジオライブみたいで演奏の熱度も上がっていくほどすごく、聴きごたえたがある。 「Riders On The Storm」はTake10まであったことも発見だった。ライナーを読むと「自分たちのブルースを演る」というのがテーマだったようだ。ロスアンジェルスという都市に暮らす白人としてのブルース。

L.a. Woman -40th-

L.a. Woman -40th-

  • アーティスト:Doors
  • Rhino
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JANIS JOPLIN/JANIS (BOX) (1993)

ドアーズのジム モリソンと同じく27歳で亡くなったジャニスの死後、CDの時代になってリリースされたアンソロジーのCD3枚組ボックスセット。なんと800円だった。内容はデビュー前のブルースフォークの歌から最後のレコーディングまで彼女のキャリアが包括的に網羅されており、内容も充実している。

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僕はBig Brother & Holding Company 時代が一番好きかな。グループのメンバーとして伸び伸びしている気がする。ソロでフロントに立つようなってからもいいが、何かこうプレッシャーといつも戦っているような、ある種の悲壮感のようなものが歌にまとわりついているように感じてしまう。

ROGER WATERS / FLICKERING FLAME(2002)

元Pink Floydのロジャー ウォーターズのソロアルバムと未発表テイクから成るベスト盤。近年は政治的発言が物議をかもしてばかりだが、彼の無神論者で体制に関わらず全てに対して反戦主義者という一貫したスタンスは理解できないわけではない。

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彼の一連のソロアルバムもそうした思想を色濃く反映していて結構重いところがあるが、こうしてベスト盤として並べられると、楽曲の良さやメッセージが分かりやすく伝わってくる。1曲目がボブ・ディランのカバーの「Knockin’ on the heaven’s door」というのも変わっているが、最後の映画「海の上のピアニスト」のエンドロール用の曲のアウトテイクも変わっている。映画でのヴァン ヘイレンのギターが入ったロックバージョンとは全く違い、エンリコ・モリコーネが最初に送ってきたであろう、オーケ ストラ版の演奏をバックにオペラ歌手のように朗々と歌い上げる。戦争で亡くなった子供達を追悼する歌を。

SIMON & GARFUNKEL/LIVE 1969(2008)

サイモン&ガーファンクルの解散前の1969年11月のツアーで収録された音源が2008年になってリリースされたもの。このツアーとき、「明日にかける橋」のアルバムは録音は終わっていたが、まだリリース前。この英文ライナーにも書かれているが、当時の米国は、ウッドストックフェスティバルの開催、アポロ11号の月面着陸、ロバートケネディ大統領候補の暗殺、キング牧師の暗殺、泥沼化するベトナム戦争、といった状況。

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彼らは声高に政治的な発言をすることは一切なかったが、その音楽と通じて時代にメッセージを送ろうしていたのかもしれない。このライブでは、聴衆が初めて聴くことなる「Bridge Over Troubled Water」を切々と声の限りに歌うアートガーファンクルのパフォーマンス、そして、彼らの代表的な作品の「Sound Of Silence」の2人だけを演奏。ひとつは困難を超えての融和を促すもので、もう一つはコミュニケーションの断絶を告発する。それらは時代を超えた普遍的な問いを投げかけているように感じる。


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