最近、仕事中によくストリーミングで聴いているのが、このアルバム。
もう30年以上前の話。僕は運転免許がないので自分でアメリカで運転したことはないが、現地のコーディネーターが運転するクルマで取材先のカンファレンスの会場まで移動したことは何度もある。あのだだっ広く、まっすぐなハイウェアを走りながら、カーラジオからはローカルステーションが放送する音楽や喋りが流れてきて、開けた窓からは乾いた風と砂や埃の匂いがする。
このアルバムはそんな風景を思い起こさせるノスタルジックなところがある。Phil Geraldiは、様々な音楽プロジェクトに関わっているようだが、本作はアメリカを実際にクルマで移動しながら流れてくるカーラジオの音を録音したものを編集し、その上に自身の弾くティールギターや楽器の音を加えている。一種のフィールドレコーディングのような要素が、このアルバムにノスタルジックなリアリティを与えている。シネマティックでもある。
フィジカルパッケージはカセットでのリリースのみというのが、本作のコンセプトに合っていていい気がする。