中古レコードを購入するときに新品同様というのはそれなりに良いけれど、僕は中身がちゃんと聴ければそれでいい派なので、ちょっとジャケットが傷んでいたり、書込みがあっても価格が手頃なら気にしない。むしろ、前オーナーの人柄が伝わってくるようで、面白く感じている。今回はそんなレコードの話
名前が書いてある
購入した日付が書いてあるのは よく見かけるが、名前が書いてあるものも多い。特に米国版に多い。米国にはレコードのジャケットをさらにビニール袋に入れるような習慣はなく、貸し借りするときに裸のジャケットに、マジックで名前を書いておくことが普通に行われていたのだろう。あと、メモみたいにシールが貼られていることも。
日本盤だとライナーノーツに名前が書かれている。趣味が似ているらしく、何枚かレコードを買ったら、全部同じ名前が書かれていてちょっとビックリしたこともあった。
あと、まれにデートのときに買ったのか、プレゼントでもらったのか、彼女と思われる女性の名前が書かれているものもあった。
曲の好き嫌いがわかるもの
ライナーノーツの文言に下線が引いたあったり、気に入った曲のタイトルのとこにマークがついていることがある。このBrian Auger&Julie Doriscoleのアルバムでは右側の曲名のところに「X」の数で印がつけられている。
中には、安いし年数の割にキレイなジャケットだと思ったら、この写真のような書込みがあって、片面全部ダメ出しされていて、あまり聴かれていなかったのだろう。ちなみにこの Ten Years Afterのアルバムは前作と比べるとブルース色が後退したようなところがあり、それがダメ出しの原因なのかもしれない。
自分で訳詞をしているもの
日本盤はけっこう歌詞対訳付きのものが多いが、中には自分で訳詞を書き込む人もいる。このシカゴのセカンドアルバムは素敵で、曲の対訳が歌詞カードに書き込まれていて、この歌詞もいいし、それを一生懸命に自分で訳して、その音楽に近づこうと努力していたこのアルバムのオーナーの気持ちが伝わってくるようだ。
ロックのレコードで40年から50年、ジャズのレコードだと60年を超える長い時間の間に、同じオーナーの元で過ごしていたり、あるいは何度もオーナーが変わりながら、また時には海を超えて運ばれて、僕がどこかの中古レコード店で出会うまでには、いろんな物語があったのだろう。
なので中古レコードを買うということは、もちろんその中の音楽を聴いて楽しむのはもちろん、自分もそのレコードの物語の一部になるということでもある。
20年後なのか、その先いつなのかはわからないが、僕が持っているレコード達もまた新たな物語が始まることになるのだろう。
*タイトル画像はUnsplash.comのサイトから