
macOS用オーディオグレードの音楽プレーヤー「Audirvana」をさらに高音質化が行える「Optimize Setting of Audirvana」を試してみた。このツールはこの「Audirvana Plusの音質改善スクリプト」ブログで配布されている。
最新版のVer 1.3 をAudirvana専用としているmacmini(Late 2012)でこのツールを適応してみる。Audirvanaは Ver. 3.5.30。前提としては、iTuens連携ではなくAudirvana単体で使っていること、日本語よりも英語で使用するのがよいらしい(日本語でも可だが)。
スクリプトの実行手順
注意:このスクリプトの実行にはターミナルでの作業などが伴うので、充分注意して行ってください。経験のない方は、詳しい方のアドバイスを受けて作業してください。
詳細は不明だが、このスクリプトはインストール済みのAudirvanaのリソースの一部を改変して「Audirvana Slim」という名前でアプリを複製する。スクリプト実行後は、この「Audirvana Slim」を起動して使用していく。
前記のサイトから「Optimize Setting of Audirvana」をダウンロードしたら、それが「ダウンロードフォルダ」に入っていることを確認。フォルダは移動しないでそのままにしておく。
まず準備作業としてmacOSの「ユーティリティ」フォルダにある「ターミナル」を起動する。ここでmacOSのセキュリティを部分的に解除する次のコマンドを実行する。そのままペーストしてリターンキーを押す。
sudo xattr -r -d com.apple.quarantine "/Users/${USER}/Downloads/Optimize settings of Audirvana/Optimize settings of Audirvana.app"
ルート権限で実行するのでパスワードを求められるので自分のアカウントのパスワードを入力する。エラーなくプロンプトに戻ればOK。
次に、高音質化のスクリプトを実行する。ダウンロードしたフォルダの中にある音符のアイコンの「Optimize Setting of Audirvana」を起動する。もし、セキュリティ制限で実行できない時は、アイコン上で右クリックでコンテキストメニューを表示して「開く」を選ぶ。警告のダイアログが表示されるが「開く」をクリックして続行する。
実行されると既存のAudirvanaアプリを選択するウインドウが表示されるので、Audirvanaアプリを選んで「Choose(選択)」をクリック
次に言語選択となるので、使用する言語を選ぶ。
コピーを作成するためにパスワードが求められる。自分のアカウントのパスワードを入力。
これで終了。必ずこの画面で終了するように。
これで「Audirvana Slim」という、音質最適化されたアプリの複製が作られる。Slimという名称の通り、若干サイズが小さくなる。元のAudirvanaアプリは削除しないでそのまま残しておく。
音質変化はどんなものか?
Audirvana Slimを起動してみると.....。当然、見た目には全く変化なし。リモートアプリもそのまま使えるし、ライブラリもそのまま有効。
実際に再生して、まず感じるのは明かに音抜けが良くなったこと。すごくナチュラルになったとも言える。音の分離も向上している。僕がAudirvanaで気になっていた「かたさ」が取れた感じ。長時間聴いて聴き疲れしないし確かに音質が良くなっていることを実感でき、効果のある音質向上スクリプトと言えそう。
僕にとっては好ましい方向への変化だが、特に帯域が広がるとか、音の力感が増すとかいったドラマチックが驚きがあるものでないので、聴き手によっては地味になった印象があるかもしれない。
もしこの変更が気に入らない時は、「Audirvana Slim」のアプリを削除するだけで、従来のAudirvanaを使用すればよい。
アップデートはどうするのか?
Audirvanaのアップデートはどうするかというと、Audirvana Slimを使っていてアップデートの通知が表示されたら、Audirvana Slimを修了して元のAudirvanaを起動してアップデートを行う。
その後で、Audirvana Slimをアプリケーションから別の場所に移動してバックアップしておき、再度上記の手順で「Optimize Setting of Audirvana」を実行して作り直す。配布元のブログをチェックして最新版のスクリプトが出ていれば、それを使うのがいいだろう。
それぞれの音の世界
部屋には、アナログターンテーブル、CDプレーヤー、CDトランスポート、DAC、Macminiといろいろあるが、それぞれ音の世界が違う。好みで言えば一番好きなのはアナログの再生音で、一番音楽に実体があるよう感じる。ノイズがないのはCDだが、CDの音は決して破綻することがなく絶えず安全圏にいて、整理され過ぎているように思うこともある。
Audirvanaのようなファイル再生のメリットは、なんと言っても手軽であること、iPadで操作しながら数千枚のアルバムのデータを瞬時に再生できる利便性は素晴らしい。ただ、僕には「音楽がそこある」という存在感がやや希薄で距離感を感じる。レコードやCDのように「モノ」としてあって、回転したり、針先が押し付けられたり、レーザーピックアップの光を読み込んだり、といった物理的な運動がないからだろうか?
まあ、そんなことはただのノスタルジアで、ファイル再生のコンビニエントで軽やかな音の出方こそが、今の時代に相応しいのかもしれない。テクノロジーが変われば、再生音も変わり、リスナーと音楽との関わり方も変わっていくものなのだろうから。