Sound & Silence

本多重夫の音楽、オーディオ、アートなどについてのプライベートブログ

合研ラボのフォノイコライザ - 価格を超えた魅力

今回は昨年(2018年)の夏から使い始めた合研ラボというメーカーのフォノイコライザの話。合研ラボは、個人で運営されているフォノイコライザの製作会社。「ガレージメーカー(Garage maker)」という書き方をされることが多いが、僕のこの表現はあまり好きでなく「インデペンデントメーカー(Independent maker)」と呼びたい。

レコードを再生するにはフォノイコライザが必要だが単体の製品は数千円のものから数百万円を超えるものまで、とんでもなく幅がある。レコードを聴くこと自体が趣味性の高い行為であることが、この価格差にも反映しているのだろう。

僕が最初単体で導入したのはEARというブランドの真空管式のフォノイコライザ。ただ思ったよりも重たい音で、出力ゲインが大きなど使いにくかったりして結局手放してしまった。その後は小型で音がいいと言われた東京サウンドのPE-50という小型のフォノイコライザをこの10年以上使ってきたが、Marantz Model 3250のプリアンプを手に入れてからは、主にこの内蔵フォノイコライザのいかにもアメリカンなどっしりしたサウンドで聴いていた。

SHUREのカートリッジは負荷容量が大きい

合研ラボの製品を導入する大きな理由となったのは、SHUREのMMカートリッジの再発見というか、その活き活きとしたサウンドに魅せられたこと。ただ、ひとつだけ気になっていることがあった。それはSHUREの特に60年代から70年代にリリースされたカートリッジの負荷容量が400-500pFと高いこと。標準的なMMカートリッジは100-150pF程度なので、大半のフォノイコライザは100pFの値で設計されており、それではSHUREの本来にサウンドにならないのではという懸念があった。

SHUREが負荷容量を大きくしていた理由は、僕の想像だが、当時のケーブルは今ほど高品質でなくケーブルの負荷容量も大きいので、それでも高域の劣化を防止するためではないだろうか。

合研ラボでSHURE用のフォノイコライザをカスタマイズしてもらう

それで、負荷容量が調節できるフォノイコライザをGoogleで探していて見つけたのが、この合研ラボのフォノイコライザ。Goolgeサイトで作られたレトロな感じのサイトが質実剛健でいかにもエンジニアっぽい。製品も小型ですごくシンプル。SHURE用に負荷容量が 150pF から 450pFまで設定できるもMMモデルがあり価格も2万円代と手ごろ(現在はこのモデルは終売になったが負荷容量切り替えのついたモデルは継続している)。カスタマイズも受け付けてもらえるということなので、M44Gのような出力電圧の高いカートリッジでもプリアンプのボリュームを上げることができるように、ゲイン調整のボリュームを付けてもらった(黄色いのがそのボリューム)。フロントパネルの左から2つのスイッチが負荷容量切り替えで、標準が100pF、スイッチを一つあげる毎に150pFづつ増加でき、250pF、400pFの値に設定できる。

カスタマイズをしてもらったが、製品は1週間程度で郵便ポストに入ってしまうほどの薄いダンボールケースで送られてきた。開けてみると、本当に薄くてシンプルで小型。ケースを開けてみると、左右チャンネル分離の構成なのがよくわかる。価格と比較すればパーツの品質も良く丁寧に作られていることがわかる。ACアダプタが電源となるが、24V仕様と動作電圧は高い。本体に電源ON・OFFのスイッチはなく、ACアダプタの抜き差しでON・OFFする。現実には聴く数時間前にACアダプタをコンセントに入れ、聴き終わったら外すという使い方になる。

再生される音の品位が高い

実際にSUHRE V15Type3のカートリッジで400pFに設定してレコードを再生すると、2万円代という価格とは思えなほどレンジも広く、解像度も高く、サウンドスケープの見通しもいい。ブログなどで合研ラボへのユーザーの評価が高いのもうなずける。70年代ロックもいいが、ジャズもいける。特にECMレーベルのアルバムには、このクリアネスがよくマッチしていつまでも聴いていたい魅力的なサウンドになる。もちろんクラッシックや現代音楽もいい。全体的に音の品位が高い。合研ラボが目指している音楽性がよくわかる。

60年代のジャズやロックでは、M44Gのような2Bの鉛筆でグッと音を描くようなカートリッジの特長もよく表現している。カートリッジごとのサウンドの違いもよく出してくれるので、使いこなしの楽しみもある。

あと、2万円代のフォノイコライザだからといって、接続するRCAケーブルを安価なものにしないこと。好みもよるが音の押し出しの強いケーブルが合う気がする。僕は最近、オルトフォンの7Nのケーブルに変えてみたが、一層音楽性の高い音を聴かせてくれている。

フォノイコライザというニッチな分野ならでの製品だが、ユーザーにとっても手軽に高品質のサウンドを届けてくれる素晴らしい製品。 最近、合研ラボでは製品が絞り込まれたが、RIAAのイコライザカーブを切り替え可能な製品もあり、特に古いモノラル盤の正しい再生を安価に実現してくれるだろう。

参考リンク https://sites.google.com/site/gohkenlab/