ちょうど1年前に購入したLuxmanのフォノイコライザ E-250。その後でプリアンプ Marantz #7を購入したこともあって#7のフォノイコライザで聴く機会が多くなったが、やはりフォノイコライザ専用機のメリットはあるはずで、その辺りを試してみたくなった。
MMカートリッジの負荷容量について
どうしてMarantz #7の内蔵フォノイコライザのSHUREの各種カートリッジの再生音が無理がなく、バランスのいいレンジ感と解像度で気持ち良く聴けているのか、最初は1960年代、70年代という時代に合っているのだろうという程度で考えていた。しかし、ふとSHUREのカートリッジのマニュアルを読み直してみると、カートリッジの負荷容量の説明に次のようにある。
負荷容量の合計には、アームからのケーブル、アンプ内の配線が含まれる。
つまり、カートリッジのシェル内のリード線やフォノケーブル、フォノイコライザ回路などを含む全体の負荷容量ということ。これまでカートリッジのマニュアルに記載されている負荷容量の値ばかり気にしていて、ケーブル全体のことに注意していなかった。Marantz #7でいい雰囲気で鳴っていたのは、フォノケーブル+アンプ内の負荷容量が丁度合っていたのだろう。
カートリッジの負荷容量をそのまま設定するのではNG
例えば、SHURE V15 Type IVだと負荷容量は200pFなので、そのままE-250のディップスイッチの設定を220pFにするのでは「リード線+フォノケーブル+フォコイコライザ回路」の負荷容量を考慮していていないで最適値の容量を大幅に超えてしまう。これについてはオーディオデザイン社のブログに詳しく書かれている。
そこでフォノケーブルの容量がどれくらいかが問題。現在市販されているフォノケーブルだと少ないものだと70pF程度、標準的なケーブルで150pFから200pFほど。一部の線材や作りに凝った高級ケーブルだと300pF程度のものもあるらしい。今も使っているBL-77+AC300MCは、30年以上に前に購入したもので、さすがにどこのフォノケーブル購入したのか覚えていないし、周波数測定器もないので、仮にこのフォノケーブルの容量を200pF程度として、聴感上で調整してみた。
負荷容量が合うと音質はさらに良くなる
前記したようにSHURE V15 Type IVの負荷容量は200pF。フォノケーブルだけで負荷容量は最適なはずなのでE-250のディップスイッチでは0pFに設定する。さあ、それでレコードを聴きいてみるとどうなるか?
なんかボーカルがとても自然でリアルでクセがなくなった。バックの演奏の定位も良くなり低域が伸びている。強調感がなくなったので、すごく大人しい印象。とは言っても力感がないわけではなく、サックスのブローなどの強弱がよりはっきり出る方向。アコースティックなソースや緻密な演奏のプログレッシブロックなどに合いそう。
V15 TypeIIIの負荷容量は400pF。なのでE-250を220pFに設定してみると、これも合っているようだ。Type3らしい押しのある雰囲気はそのままで全体の帯域バランスは調整されたよう。オーケストラのアンサンブルの細部まで見通しは良くなり、音にキレがあり、情報量が増えて中々聴き応えがある。このサウンドが聴けるならしばらくE-250をメインで使ってみよう。
試してみて結果はよかったが、SHUREのMMカートリッジを上手く鳴らすのはなかなか難しい。それがオーディオの楽しみでもあるのだが。
参考情報:オーディオデザインのブログ
ラックス MC/MM対応フォノイコライザーLUXMAN E-250
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