Thinking is The Form

本多重夫の音楽、オーディオ、アートなどについてのプライベートブログ

Destroy All Monsters - Stooges残党の猥雑なロックンロール

ロック(ロックンロール)は、本来、品行方正な人のものでない。安全な娯楽でもなく、猥雑なもの。いつからか音楽ビジネスとして洗練され過ぎてしまい安全な娯楽になってしまったが、Rolling Stonesだって、最初の頃は「あいつらが来たら街を消毒しろ、娘は家から絶対出すな」と言われたものだ。

この古い日本の怪獣映画「怪獣大進撃」の英語タイトルからバンド名をとったDestroy All Monstersは、ミシガン州のバンドで、リードボーカルの「Niagara -ナイアガラ」と名乗る彼女を中心にバンドの構成は変遷していく。

1978年に元StoogesのギターのRon Asheton、ベースに元MC5のMichael Davisというデトロイトロックの主要人物が加入したことで、一時注目が集まる。サウンドは期待通りで、パンクというよりももっと荒削りで、ある意味凄みがあり、猥雑なロックンロール。歌は決して上手くないNiagaraの歌とその場末っぽいスタイルが、このバンドの個性をさらに際立たせている。 このレコードのジャケットの裏面の写真をみると、その雰囲気が伝わってくるだろう。

このラインアップのDestroy All Monstersは、シングルを数枚リリースしただけで終わってしまう。このアルバムは、後にシングルとスタジオアウトテイクをまとめてリリースされたもの。ジャケットには、ケネディ大統領暗殺シーンのカラー写真が使われているが、彼らにはその事件についての曲があり、このアルバムにも収録されている。

「わたし退屈なの。ワ.タ.シ.はタイクツなの……。」と退廃的な調子で歌われる一曲目の「Bored」を聴くだけで、蒸し暑いデトロイトの汚いライブハウスで気の抜けたビールを飲みながら聴いているような気分になる。

そうした彼らのライブは、画質の悪いYouTubeの映像が妙にあっている。

Destroy All Monstersのシングルとこのアルバムは、僕のレコードラックの中に長い年月の間いつもある。パンクロックのコレクションを随分と処分してしまった時も、このアルバムは残していた。別段すごいアルバムでもないが、この猥雑で荒削りで、投げやりなロックが、僕の中でバランスを取るために必要なんだろう。