Sound & Silence

本多重夫の音楽、オーディオ、アートなどについてのプライベートブログ

ロシアのインディーロックガイド - どんな困難があっても音楽はそばにある

(タイトル画像はunsplash.comからの引用)

はてなブログでロシアのロックについてのブログ『Russian Indie Guide-ロシアのインディーロックガイド』を見つけた。共産主義の時代、1980年代後半からのペレストロイカの時代、そしてウクライナとの戦争下の現在までを網羅した充実した内容で、豊富なビデオ映像も収録された力作。このブログを読めば、ロシアのロックを包括的に理解できる。

russianindieguide.hatenablog.com

70年代の冷戦時代は共産圏ロックは「鉄のカーテン」の向こう側の秘境で、西側ではごく一部のグループが知られるだけだった。このブログでも指摘されているように、80年代後半からのペレストロイカの時代からエリツィン大統領の時代にロシアのロックが最初に花開いたといっもいいだろう。

僕が記憶しているのは、当時、テレビ朝日の深夜番組でロシア特派員だった記者がほとんど自分の趣味で取材したロシアのロックシーンの紹介が秀逸だった。パンク、プログレ、フリージャズまで何でもありのミックスカルチャーぶりがすごかった。その番組のライブで映像で今でも強く印象に残っているのは、このブログでも紹介されているZvuki Muというグループで、後にBrian Enoがプロデュースしている。

youtu.be

90年代の日本では独立系のプロスペクトミーラという会社が、ロシアの新しいアーティストのCDを輸入販売していて、僕も何枚か購入している。パンク、ポストパンク、アバンギャルドのグループが中心で、内容的には欧米のグループに引けをとらない、ユニークな個性を持っていた。

2010年以降のロシアのロック、インディーシーンは全くフォローしていなかったが2018年ごろからYouTubeにやたらと、ロシアのdoomやダークウェーブのオムニバス音源がたくさん上がってきて、それらを聴いてみると、独自の発展をとげていることがわかる。

youtu.be

一聴して、ベースラインの取り方や歌い方にJoy Divisionの影響が濃厚にあって、深いリバーブの向こう側から暗く濃霧に覆われた黄昏のような廃墟の風景が現れる。虚無感はあるが、なぜだかそれほど重くない。

僕がそんな中で見つけてレコードも買ったのが、ベラルーシのMolchat Domaで、自分のブログにも書いたが、欧米のインディー、エレクトロとは異なる、時代があるところで止まったかのような音世界観があって、それが魅力になっている。

shigeohonda.hatenablog.com

今のロシアは強権的、独裁的な支配が続き、言論統制や反対勢力を摘発する民間組織が暗躍しているらしっく自由を求める音楽にとっては厳しい時代だろう。でも、その中にあってもしぶとく継続してくチカラがあるのも音楽の強さかもしれない。


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