Sound & Silence

音楽、オーディオ、アートなどについてのプライベートブログ

Music

Kraftwerk / Trans Europa Express - クラフトワークはドイツ語で聴かないと

このエントリーを書こうとしばらく前に思ったら創設メンバーのラルフ・フッター(Ralf Hütter)が亡くなり、追悼記事がたくさん出て、それに便乗するような印象となるのも嫌だったのでちょっと時間を置いていた。 そもそもKraftwerkは、ラルフ・フッターとフ…

四人囃子 / 一触即発 - 狂った初夏の陽射し

日本のロックを聴かないかというと、そうではない。一番初めはTVで見たモップスから外道、遠藤賢司、コスモスファクトリー、フラワートラベリングバンド、PYG、裸のラリーズや東京ロッカーズの頃は、フリクション、ヒカシュー、自殺、8 1/2、ボルシー、プラ…

ハイファイ堂レコード店の閉店セールでまとめ買い - バーゲンの罠に進んでハマってみる

ここ数年はオンラインで中古のオーディオ製品や中古レコード、CDの購入で利用していた名古屋を本拠とする「ハイファイ堂」のレコード店が(新型コロナウイルスで来客が減ったことも関係しているのか)GW中に突然5月末で閉店とのアナウンス。それで全品50%OF…

Ultravox! / Ha!-Ha!-Ha! - ささくれた心に染み込むサウンド

70年代英国パンクロックムーブメントというと、Sex Pistols が余りにも有名だが、ピストルズはファンションブティックのオーナー、マルコム・マクラーレンが仕掛けた所謂ブランドアンバサダーを目的とするロックバンドを出自としているのに過ぎないのではな…

Crala Haskil / Konzerte Fur Kavier und Orchestra - ありのままのモーツァルトのピアニズム

僕はあまりモーツァルトは聴かない。嫌悪しているわけではないが存在が絶対視されてしまっていて、クラシック界のビートルズ的な存在であり、批判や異議申し立てを受け付けてくれないからだ。ベートーヴェンにもそうしたところがあるが、映画『レオン』の中…

INSIDE OUT / Nick Mason 著 - この本を読みながらピンク・フロイドをキャズム理論で考察

ピンク・フロイドのメンバーでドラマーのニック・メイソンが執筆した、A4サイズで300ページ以上に及ぶバンドと彼自身の自伝の本。この本が2004年に出版されたときに、どうせなら写真もきれいな豪華本でと思い購入したのだが、この重量の本になると寝る前にベ…

カケハシレコード - 音楽への愛情が伝わってくる通販ショップでの買い物

中古レコード価格が高騰していることもあって価格的にこなれているCDも良いかなと思い始めている。ストリーミングのApple Musicも利用していて、それはそれで色々聴けていいのだが、僕が好きな1960年代、1970年代のニッチなジャンルになると収録されていない…

Giuseppi Logan / MORE GIUSEPPI LOGAN - ジュゼッピ・ローガンの自由な世界

芸能や芸術家と薬物の関係には長い歴史がある。フランスの作家、ジャン・コクトーはアヘン中毒だったし、ビート作家のウィリアム・バロウズは死ぬまでコカイン、ヘロイン中毒だった。バロウズは「適量のヘロインを取り続けると決して風邪をひかない」とまで…

Iannis Xenakis / Persephassa - 過去が未来であり、現在が永遠であること

僕にとっての「現代音楽」は、ロックやフリージャズと並行してずっと身近なところにあって良く聴いてきた。一番の理由はNHK-FMであった上波渡氏の「現代の音楽」を聴いていたこと。 NHK-FM「現代の音楽」という番組 番組はバッハ=ウェーベルンの「6声のリチ…

Audirvana 高音改善スクリプト - Optimize Setting of Audirvanaを試す

macOS用オーディオグレードの音楽プレーヤー「Audirvana」をさらに高音質化が行える「Optimize Setting of Audirvana」を試してみた。このツールはこの「Audirvana Plusの音質改善スクリプト」ブログで配布されている。 最新版のVer 1.3 をAudirvana専用とし…

Eric Dolphy / Iron Man - ランチに出かけたドルフィーがやっていたこと

エリック・ドルフィーついて語るのは危ない。「お前はジャズが分かっていない」と何度絡まれたことか。そう、確かにジャズがわかったと言えるほどほどジャズは聴いていない。でも「ジャズを分かる」ってどういうことなんだろう。「ジャズ」を「ロック」や「…

David Bowie / All Saints -歌のない歌が聴こえてくる

このアルバムはDavid Bowieの歌のない、インストゥルメンタルの曲だけを集めて2001年にリリースされたもので、実は僕はこのアルバムの存在をAppleMusicの中で見つけるまで知らなかった。 資料によると、このインストゥルメンタルを集めたアルバムは、最初CD2…

Albert Ayler Trio / Spiritual Unity - 物語る声がある音楽

フリージャズの中でアルバート・アイラーが今やどんな場所を占めているのか分からないが、どうもドルフィーのように尊敬されたり、コルトレーンのように神格化されていることはないようだ。昔のジャズ喫茶ではお客さんを追い出したいときは、アルバートアイ…

Pink Floyd / The Later Years 1989 - 2019 - LP 2枚組でお腹いっぱい

Pink Floydは10代の頃からずっと聴いているフェバリットアーティスト。最初に買ったアルバムは『Meddle(おせっかい)』で『Echoes』は、それこそ何回聴いたかわからないほど。 Pink Floydは時代によって変遷があるが、この「The Later Years 1989 - 2019」…

Nakamichi CD-4 - 1990年代のリマスタリングを堪能する

年末年始の整理ではないが、もう何年もずっと使っていなかった ナカミチのCDプレーヤー 『CD−4』を物置きなってるロフトから下ろしてきた。もしまだ動作するなら廉価でも売却するし、動かないなら粗大ゴミで処分しようかと。それで、一度電源につないでONに…

Audirvana 3.5 - ロスレス音源再生専用化とアプリの導入

Macmini (Late 2012 8G mem / 1TB HDD)で使ってきたAurdirvanaだが、OSをmacos Catalina にクリーンインストールし直したので、ロスレス専用の再生環境にすることに。 つまり、macos標準のApple Musicアプリはストリーミング専用にして、Apple Remoteアプリ…

The Stranglers / Black and White - あらゆる情緒を拒絶する音楽

1970年代後半のパンクムーブメントの中で、多くのバンドがデビューした。パンクバンドに対する一般的なイメージは、楽器を始めたばかりのメンバーが3コードをかき鳴らしながら社会への不満をがなり立てる、というものだった。確かにそういうバンドも多くあっ…

Ornette Coleman / Free Jazz - 衝突でなく融和する創造性

1960年12月にニューヨークで録音され、1961年にリリースされたオーネット・コールマンの「Free Jazz - Collective Improvisation」とタイトルされたアルバムは、なんといってもジャケットデザインが斬新で素晴らしい。 それまでのジャズアルバムのカバーと言…

Ginger Baker / Ginger Baker's Air Force - 追悼:ジンジャー・ベーカー「好きな事をやるんだ」

人は歳を取れば順番に去っていくのは避けることはできない。 ジンジャー・ベイカーがいなければ、Creamのあの微妙なバランスはなかっただろう。彼のドラムがなければ『White Room』の出だしがあれだけ印象深いものになっただろうか? 『Sunshine of your lov…

Tony Williams / Turn It Over -ひっくり返してしまえ! 迷いのないドラムが教えてくれること

Tony Williams(トニー・ウィリアムス)は、13歳でジャズドラマーとしてデビューし、1960年代前半には17歳でマイルス・デイビスのレコーディングに参加するという早熟ぶりを発揮する。その若く、勢いがあり、ピュアでパワフルなドラミングが当時の多くのジャ…

SHURE V15 Type3 の交換針を変えて音質の違いを楽しむ

以前、「SHURE M75ED カートリッジ - 針交換で音質を変えて楽しむ」という記事を書いたが、SHURE V15 Type3カートリッジを山本音響工芸のカーボンシェルに取り付けてから、がぜん好みのサウンドになってきたので、V15 Type3でも交換針の種類を変えてサウンド…

The Band / Music from Big Pink - 救いのない世界へ向けた絶望的な絶叫

実は僕はごく最近になるまで「名作」と呼ばれるアルバムを聴くことをずっと避けていた。その理由はその「名作」に過去、あまりに多くのおひれが付いてしまっているから。 1960年代から80年代の日本のロックジャーナリズムは、英語のハンディ(アーティストと…

Harbie Mann / Stone Flute - アンビエント ジャズとしての先駆的作品

ハービー・マンは米国出身のジャズフルート奏者で、1960年代から70年代にかけてフュージョンの先駆けというか、ブラジル音楽などのワールドミュージックをマシュアップしてジャズに取り込み、ジャズからポップミュージック、ダンスミュージックの領域で成功…

中古レコードの落書きの面白さ - レコードの物語の一部になること

中古レコードを購入するときに新品同様というのはそれなりに良いけれど、僕は中身がちゃんと聴ければそれでいい派なので、ちょっとジャケットが傷んでいたり、書込みがあっても価格が手頃なら気にしない。むしろ、前オーナーの人柄が伝わってくるようで、面…

Rolling Stones / Their Satanic Majesties Request - ローリング・ストーンズの「幼年期の終わり」

最近買ったレコード5枚目の話。このローリング・ストーンズが1967年12月にリリースした『Their Satanic Majesties Request』は、彼らのベストのアルバムではないが、Summer Of Loveの1967年の最後に相応しいアルバムといえるだろう。 同年6月にはビートルズ…

UFO / UFO 1 - 怖いもの知らずのアングラ スペースロック

最近買ったレコード4枚目の話。口だけの人面岩が宇宙空間を漂っているという趣のちょっとイケテいないこのジャケットは、英国ハードロックバンド「UFO」が1970年にリリースしたファーストアルバム。 「UFO」は数年後に当時19歳のドイツ出身ギタリストのマイ…

Audirvana 3.5 - 一新されたインターフェースと再生エンジン

ここずっとアナログばかりに没入していて、久しぶりにMacminiを起動してAudirvanaを再生しようとしたら、4月に大きなバージョンアップがあったことを今頃になって知ることになり、ちょっとした浦島太郎気分。デジタルの世界は変化が速い。 Audirvanaは 3.5に…

Gil Evans / Into The Hot - インテリジェントで機知に富むジャズオーケストラサウンド

最近買ったレコード3枚目の話。僕はジャンルを問わず音楽を聴くが、それは趣味の幅が広いのではなく、「自分が関心を持てる音楽」をいろんなジャンルから探索しているだけであって、一つのジャンルを掘り下げているわけではない。なのでジャズのアルバムが20…

Mott The Hoople / All The Young Dudes - 困窮したバンドからの復活劇、冴えるボウイのビジネスセンス

最近買った中古レコードの2枚目の話。 David Bowieでいつも感心することは、音楽的に先鋭的で優れていながら、同時に「売れるもの」を必ず作れるビジネスセンスを備えていること。この両立をバランスよくできるアーティストは少ない。 そうした彼のビジネス…

David Bowie / Pinups - 新たな自分を探す旅の入り口

中古レコード店での買い物は、本当に探していたレコードがあって買えそうな価格の範囲であれば嬉しいが、それだけではなくて、昔から何となく気になっていたレコードとか、以前は持っていたが手放してしまったことを後悔しているようなものが、手頃な価格で…


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