Sound & Silence

本多重夫の音楽、オーディオ、アートなどについてのプライベートブログ

Rock

Arushi Jain, Six Organs of Admittance, William Parker, Laraaji Alan Vega - 最近、AppleMusicで聴いているもの

Apple Musicがロスレス配信になってから仕事中によく鳴らしている。仕事をしながらなのでそんなに真剣に聴いているわけではないが、それでもその音にはっとするような瞬間がある。最近リリースされたものばかりではないが、そんな中からいくつかを。 Arushi …

Sunn O))) とオリビエ・メシアンの相関関係 - 響の中のメッセージに耳をすませる

少し前に米国シアトル出身のドローンメタルバンド、Sunn O))) の2009年のアルバム『Monoliths & Dimensions』の2枚組アナログ盤の中古をたまたま見かけて購入して聴いたことから始まる。Sunn O))) が所謂メタルバンド的なフォーマットでもない(ドラムがいな…

Arte Concert - 様々な音楽が、様々なアーティストから生まれくることを目撃する

普段はあまりYouTubeを見ないのだけど、偶然この「arte concert」 というライブシリーズを見て、どれも刺激的で啓発されるものがあった。調べてみると、arte.tv というEUのファンディングを受けている組織の文化事業のようで、アートやフィルムの他、オペラ…

Tangerine Dream / The Sessions II & III - 誰もいなくなってもグループ名は残り、そしてスピリットが継承された

Tangerine Dreamの創設者でその精神的、音楽的中核でもあったEdgar Froseが亡くなったのが2015年。もうグループは活動停止だろうと思っていたら残った3人のメンバーで復活。その新生Tangerine Dreamのインプロビゼーションの演奏だけを集めたライブ音源シリ…

Apple Music ロスレスストリーミングを聴く- 音質だけでなく音楽体験の質が高まる

ロスレスストリーミングになったApple Music。いろいろと聴いて確かに音質が向上しているし、これまでのそこそこ音の良いBGMというか、気になるアルバムを試聴してチェックする用途から、音楽を真剣に聴く、鑑賞に耐えるものとなった。 もちろん全てが素晴ら…

Double Negative / Low - ノイズの向こうから聴こえる聖歌

以前から気になっていたLowの2018年のアルバム『Double Negative』のアナログ盤がまだ残っているのを見つけたので購入。当然のことなのだけど、AppleMusicで聴いているときとは音楽の深度や強度が大きく違う。やはりこうした音楽はできればアナログ盤で、無…

Live at Knebworth 1990 / Pink Floyd - 30年前のライブを高音質45回転LP2枚組で聴く

昨年発売された『The Later Years』の2枚組LPにも一部が収録され、同タイトルのBOXセットにはCDで収録されていた1990年6月30日のKnebworth Festivalでの演奏が今回『Live at Knebworth 1990』として、高音質45回転LP2枚組というベストなフォーマットでリリー…

昔の日本のレコードの音は本当に悪かったのか? - SHURE Me97HEカートリッジ で聴いてみる

ストリーミングの時代にアナログレコードが何度目かのブームを迎えている。レコードは大きさからしても、ジャケットアートと音楽を収めた円盤がセットになったアートパッケージとして新しい位置を与えられているのかもしれない。ジャケットを飾るためのさま…

LITTLE BIG BAND LIVE AT TUBBY’S / 75 DOLLAR BILL - 音楽が生まれる場所

少し前に紹介したニューヨークのグループ、75 DOLLAR BILLのライブ盤『LITTLE BIG BAND LIVE AT TUBBY’S 』のアナログ2枚組が届いた。アナログで聴くとデジタルファイルとは随分印象が違って演奏が生々しい。 このユニットの紹介は前回の記事を参照していた…

75 Dollar Bill - ひび割れた懐かしさの彼方に

「ひび割れた懐かしさの彼方に 」というタイトルを思いついて、それがまるで間章(あいだ・あきら)みたいだと自分でおかしくなる。間章の文章を初めて読んだのはブリジット・フォンテーヌの『ラジオのように』のライナーノーツだった。まるで私小説のような…

ミュージック / 「現代音楽」をつくった作曲家たち - ハンス・ウルリッヒ・オブリスト著

本書の原題は『A Brief History of New Music(新音楽小史)』というもので、この原題のほうが本書の性格をよく現している。シュトックハウゼン、ブーレーズ、クセナキスといった戦後の現代音楽の大家からスティーブ・ライヒ、テリー・ライリーといったミニ…

Julianna Barwick / Healing is a miracle - 深い傷を負わないものに深い癒しはない

このJulianna Barwickを最初に知ったのもNPR.orgのアルバム紹介だった。2011年にリリースされた彼女のファーストアルバム『The Magic Place』。そのアムバムは深いリバーブの中で単純なメロディを素朴に歌う声が執拗なほどに多重処理されることで、声がエー…

Patti Smith / Radio Ethiopia - 詩人の痩せた女の声が頭の中で鳴り響く

今振り返ると、Patti Smith(パティ・スミス)とはいったい何者だったのだろう? 何年か前にボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞したときに授賞式だったかで、緊張した面持ちでディランの曲を歌う彼女の姿は僕が昔聴いていたパティ・スミスとは全く別人の…

Zola Jesus / OKOVI - 暗闇が白い光につつまれるとき

僕が Zola Jesusの存在を知ったのは10年ほど前 、NPR.orgでの新譜紹介でだった。「Conatus」というアルバムで、音楽的にはエレクトロニックで神秘的なところがあり、最初の印象はSiouxsie and the Bansheeds の Siuoxsie Siouxそっくりの歌声で曲調も似たよ…

Silver Apples / Silver Apples - 「新しい都市の音楽」を響かせる

Silver Applesは「テクノミュージックのゴッドファーザー」的に語られることが多いが、僕は同感できない。それは表面的なこじつけに過ぎなくて、Silver Applesの本質的な革新性や芸術性を矮小化してしまう危険があるように思う。Miles Davisの『Bitche's Bre…

Folke Rabe / Wass?? - 美しい音の壁紙

Folke Rabe(フォルケ・ラーベ)の『Wass??』と書くと、「ああ。あれね」と思う人も少なくないかも。一種カルト的な存在の作品。おそらく現代音楽の中でよりも、先鋭的なロックファンによく知られているかもしれない。 1935年の生まれのストックホルムの作曲…

Brian Eno / Rams - イーノの久々のサウンドトラック - 2020年レコードストアディの買い物

『Record Store Day(レコードストアディ)』というのは、元々は2007年4月に米国の地方都市のレコードストアコミュニティで始まったイベントでショップでアーティストやファンが交流するものだったが、翌2008年からはレコードストアディのための特別なアルバ…

Earth / Full Upon Her Burning Lips - 瞑想的であり同時に覚醒的でもある音楽

「ヘヴィメタル」というジャンルは難しい。アイドルグループやアニメのサントラのような曲ばかりやるグループから冷徹な極北のブラックメタルまで一つのジャンルで語るには余りにも範囲が広過ぎる。それなのに「ヘヴィメタル」と一括りで扱われる不幸がこの…

David Crosby / If I could remember my name .... - 祈りと復活の音楽

その存在や内容、評価は知っていても実際に聴いたことのないアルバムというのが何枚もある。興味が持てなかったり、そのアルバムやアーティストに対してバイアスを持っていたり、その理由はさまざま。このデビッド・クロスビーのファーストソロアルバムもそ…

The Index / Black Album Red Album Yesterday & Today - 深いリバーブサウンドで誤解されたサイケデリア

ロックという音楽の特徴に「演奏能力がないこと」「誤解されること」があるとずっと思っている。ロックというのは音楽家、演奏家としての専門的なトレーニングを受けていない(中にはそういう人もいるが)、アマチュアリズムがベースあり、そこに未分化で訴…

Kraftwerk / Trans Europa Express - クラフトワークはドイツ語で聴かないと

このエントリーを書こうとしばらく前に思ったら創設メンバーのラルフ・フッター(Ralf Hütter)が亡くなり、追悼記事がたくさん出て、それに便乗するような印象となるのも嫌だったのでちょっと時間を置いていた。 そもそもKraftwerkは、ラルフ・フッターとフ…

四人囃子 / 一触即発 - 狂った初夏の陽射し

日本のロックを聴かないかというと、そうではない。一番初めはTVで見たモップスから外道、遠藤賢司、コスモスファクトリー、フラワートラベリングバンド、PYG、裸のラリーズや東京ロッカーズの頃は、フリクション、ヒカシュー、自殺、8 1/2、ボルシー、プラ…

ハイファイ堂レコード店の閉店セールでまとめ買い - バーゲンの罠に進んでハマってみる

ここ数年はオンラインで中古のオーディオ製品や中古レコード、CDの購入で利用していた名古屋を本拠とする「ハイファイ堂」のレコード店が(新型コロナウイルスで来客が減ったことも関係しているのか)GW中に突然5月末で閉店とのアナウンス。それで全品50%OF…

Ultravox! / Ha!-Ha!-Ha! - ささくれた心に染み込むサウンド

70年代英国パンクロックムーブメントというと、Sex Pistols が余りにも有名だが、ピストルズはファンションブティックのオーナー、マルコム・マクラーレンが仕掛けた所謂ブランドアンバサダーを目的とするロックバンドを出自としているのに過ぎないのではな…

カケハシレコード - 音楽への愛情が伝わってくる通販ショップでの買い物

中古レコード価格が高騰していることもあって価格的にこなれているCDも良いかなと思い始めている。ストリーミングのApple Musicも利用していて、それはそれで色々聴けていいのだが、僕が好きな1960年代、1970年代のニッチなジャンルになると収録されていない…

David Bowie / All Saints -歌のない歌が聴こえてくる

このアルバムはDavid Bowieの歌のない、インストゥルメンタルの曲だけを集めて2001年にリリースされたもので、実は僕はこのアルバムの存在をAppleMusicの中で見つけるまで知らなかった。 資料によると、このインストゥルメンタルを集めたアルバムは、最初CD2…

Pink Floyd / The Later Years 1989 - 2019 - LP 2枚組でお腹いっぱい

Pink Floydは10代の頃からずっと聴いているフェバリットアーティスト。最初に買ったアルバムは『Meddle(おせっかい)』で『Echoes』は、それこそ何回聴いたかわからないほど。 Pink Floydは時代によって変遷があるが、この「The Later Years 1989 - 2019」…

Nakamichi CD-4 - 1990年代のリマスタリングを堪能する

年末年始の整理ではないが、もう何年もずっと使っていなかった ナカミチのCDプレーヤー 『CD−4』を物置きなってるロフトから下ろしてきた。もしまだ動作するなら廉価でも売却するし、動かないなら粗大ゴミで処分しようかと。それで、一度電源につないでONに…

The Stranglers / Black and White - あらゆる情緒を拒絶する音楽

1970年代後半のパンクムーブメントの中で、多くのバンドがデビューした。パンクバンドに対する一般的なイメージは、楽器を始めたばかりのメンバーが3コードをかき鳴らしながら社会への不満をがなり立てる、というものだった。確かにそういうバンドも多くあっ…

Ginger Baker / Ginger Baker's Air Force - 追悼:ジンジャー・ベーカー「好きな事をやるんだ」

人は歳を取れば順番に去っていくのは避けることはできない。 ジンジャー・ベイカーがいなければ、Creamのあの微妙なバランスはなかっただろう。彼のドラムがなければ『White Room』の出だしがあれだけ印象深いものになっただろうか? 『Sunshine of your lov…


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