Sound & Silence

本多重夫の音楽、オーディオ、アートなどについてのプライベートブログ

アナログ

山本音響工芸の黒檀インシューレーター BP-9 - 手頃な予算でも良い音は得られる

今使っているヘッドシェルをはじめ、僕のオーディオには、山本音響工芸社の製品が多い。理由の一つは価格が手頃ということがある。1万円前後で黒檀やカーボンのヘッドシェルに6Nのリード線がついているのでいろいろと試しやすい。あと木製が多くて質量が軽い…

不時着する流星たち / 小川洋子 - エリック・サティを聴きながら、ゆっくりと悲しさをこめて

以前感想を書いた『密やかな結晶』の小川洋子の短編集『不時着する流星たち 』。この本は、実在する社会では少し変わった存在だった人物にインスパイアされて、それぞれの物語が紡がれていく。 例えば、一人で「ヴィヴィアン・ガールズ」が活躍する巨大な長…

アコースティックリバイブ、でんき堂スクェア / RCAケーブル - ケーブルの存在を感じさせないケーブルがベスト

オーディオをやっていると各種機材を接続するケーブルの選択に悩むことになる。よく「ケーブル沼」と言われるほどに、このケーブル選択に時間を労力を費やすことになる。僕もケーブルは過去、海外製、国内製、より線、単線、ビンテージ線などなといろいろと…

レコードは風景をだいなしにする / ディヴィド・クラプス著 - それならストリーミングは風景を破壊するだろう

著者は1967年生まれ。ニューヨーク在住。ニューヨーク市立大学准教授。ジム・オルークとガスター・デル・ソルで活躍、現在はソロ活動と自身のレーベルを主催している。本書のオリジナルタイトルは「Records ruin the landscape - John Cage, the sixties and…

マルゲリータ / レコードスタンド - アルバムカバーアートを鑑賞しならが聴く

レコードをかけているときに、アルバムジャケットをのせて置くいいスタンドはないかとしばらく前から探していた。昔はよくレコード店のレジの近くで「只今再生中のレコード」としてジャケットが立てかけられていた、そんな感じのもの。 ただ、プラスチックや…

アナログプレーヤーのアクリルカバーを特注する

30年以上使っているアナログプレーヤーのMirco BL-77、プレーヤーの調子はいいのだが、数年前からアクリルカバーのヒンジ部分の周りが劣化してヒビが入ったところが徐々に広がり、ある朝ついに、バキッっと大きな音を立てて割れてしまった。 そのままカバー…

オーロラサウンド MM Expander AE-10 - MMカートリッジから『音楽』を引き出す

オーロラサウンドは、ハイエンドの管球式セパレートアンプやルンダール製の高音質トランスなどの高品質パーツを使用したLCR型のフォノイコライザなど、国内外で評価の高いオーディオ製品を作り出している独立系ベンダー。代表の唐木氏はグローバルなビジネス…

John Cage / Sonata & Interludes for Prepared Piano - 喧騒の時代の小さな音の音楽

もう長い間、 John Cage(ジョン・ケージ)の『プリペアドピアノのためのソナタとインターリュード』という作品は、僕の愛聴盤で、疲れた夜更けに聴くと心が安らぐ。静かで、聴き手の感情に絡むような人懐っこいメロディはなく、非西欧的な響きで、断片的な…

47 研究所の豚皮ターンテーブルシート - 厚さ1ミリの魔法のシート

使い始めてから30年以上になるMicro製のアナログプレーヤー BL-77とトーンアームのAudio Craft AC-300MC。最初に購入したときからほとんど変わらず、アルミのターンテーブルの上に重量3kgの銅板ターンテーブルシートを敷いて、さらに純正の900gのスタビライ…

Julianna Barwick / Healing is a miracle - 深い傷を負わないものに深い癒しはない

このJulianna Barwickを最初に知ったのもNPR.orgのアルバム紹介だった。2011年にリリースされた彼女のファーストアルバム『The Magic Place』。そのアムバムは深いリバーブの中で単純なメロディを素朴に歌う声が執拗なほどに多重処理されることで、声がエー…

Patti Smith / Radio Ethiopia - 詩人の痩せた女の声が頭の中で鳴り響く

今振り返ると、Patti Smith(パティ・スミス)とはいったい何者だったのだろう? 何年か前にボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞したときに授賞式だったかで、緊張した面持ちでディランの曲を歌う彼女の姿は僕が昔聴いていたパティ・スミスとは全く別人の…

SHURE V15 Type3 初期型と後期型の何が違うのか? - 音楽の熱度が高い初期型

SHURE V15 Type3(III)は1973年から1978年にかけて製造され70年代に黄金期を築いたフォノカートリッジで今でもファンが多い。僕も数年前に手に入れて愛用している。SHUREのカートリッジで必ずあるのが初期型信仰。M44Gだとカモメマークが印刷されている米国…

Luxman E-250フォノイコライザの電源ケーブルをZonotone 6NPS-3.5 Meisterに変える

去年の春に購入したLuxmanのE-250フォノイコライザ、基本的に美音で低域の伸びも良いのだが、もう少しメリハリというか躍動感が欲しいところもあり、どう調整するかを考えて試しに電源ケーブルを変えてみることにした。もしフォノイコライザで効果がなくても…

Zola Jesus / OKOVI - 暗闇が白い光につつまれるとき

僕が Zola Jesusの存在を知ったのは10年ほど前 、NPR.orgでの新譜紹介でだった。「Conatus」というアルバムで、音楽的にはエレクトロニックで神秘的なところがあり、最初の印象はSiouxsie and the Bansheeds の Siuoxsie Siouxそっくりの歌声で曲調も似たよ…

Cardas Frequency sweep and burn-in record - システムのリフレッシュもできるオーディオチェックレコード

オーディオシステムのチェック用レコードはいろいろあるが、僕が長年使っているのがこの『Cardas Frequency sweep and burn-in record』。内容は、1KHz音や20Hzから30KHzまでの連続スイープ音など周波数を変えての信号音や正相、逆相のチェック信号が詰まっ…

Silver Apples / Silver Apples - 「新しい都市の音楽」を響かせる

Silver Applesは「テクノミュージックのゴッドファーザー」的に語られることが多いが、僕は同感できない。それは表面的なこじつけに過ぎなくて、Silver Applesの本質的な革新性や芸術性を矮小化してしまう危険があるように思う。Miles Davisの『Bitche's Bre…

チタン製の指かけで音は変わるのか - 小さなことでも音は変わる不思議

所有しているSHUREのカートリッジは全部、山本音響工業のカーボンや黒檀、つげ材のヘッドシェルに同社の太いリード線をセットにして使っている。このヘッドシェルには別売でチタン製の指かけというのがあって、指かけ位で本当に音が変わるのか、多いに疑問も…

SK-III vs. アナログリラックス - レコード除電ブラシをうまく使いたい

アナログレコードを聴くときにやっかいなのは、パチパチという静電気。ホコリを吸い寄せるし、再生する音にも影響が出そう。持っているレコードはバキューム式のレコードクリーナーで洗浄すると静電気はある程度落ち着くし、洗浄後は静電気が発生しにくいよ…

Folke Rabe / Wass?? - 美しい音の壁紙

Folke Rabe(フォルケ・ラーベ)の『Wass??』と書くと、「ああ。あれね」と思う人も少なくないかも。一種カルト的な存在の作品。おそらく現代音楽の中でよりも、先鋭的なロックファンによく知られているかもしれない。 1935年の生まれのストックホルムの作曲…

Brian Eno / Rams - イーノの久々のサウンドトラック - 2020年レコードストアディの買い物

『Record Store Day(レコードストアディ)』というのは、元々は2007年4月に米国の地方都市のレコードストアコミュニティで始まったイベントでショップでアーティストやファンが交流するものだったが、翌2008年からはレコードストアディのための特別なアルバ…

木製のヘッドシェルは木の美しい響きがするのだろうか - SHURE V15 Type IV で山本音響工芸のつげ材のヘッドシェルを試す

少し前にSHUREのカートリッジM44Gを木製ハウジングにする記事を書いたが、それ以降、そのウッドハウジングのM44Gがターンテーブルの主役の座を占める時間が長くなってきた。時間を経て鳴らし込みが進んだのか、さらにディープな音を聴かせてくれている。 や…

Earth / Full Upon Her Burning Lips - 瞑想的であり同時に覚醒的でもある音楽

「ヘヴィメタル」というジャンルは難しい。アイドルグループやアニメのサントラのような曲ばかりやるグループから冷徹な極北のブラックメタルまで一つのジャンルで語るには余りにも範囲が広過ぎる。それなのに「ヘヴィメタル」と一括りで扱われる不幸がこの…

David Crosby / If I could remember my name .... - 祈りと復活の音楽

その存在や内容、評価は知っていても実際に聴いたことのないアルバムというのが何枚もある。興味が持てなかったり、そのアルバムやアーティストに対してバイアスを持っていたり、その理由はさまざま。このデビッド・クロスビーのファーストソロアルバムもそ…

SHURE M44Gカートリッジを木製ハウジングに入れ替える - 自然な響きを聴かせてくれる

SHURE M44Gカートリッジは今更説明が不要だろう。近年はDJプレイ用として人気だったが、本来は1960年代に手頃なステレオ向けハイファイカートリッジとして発売されたもので、製造は終了したが登場から50年以上経った今でもそのエネルギー感溢れるサウンドは…

PANGAEA/ Miles Davis - 究極のブラックヘビィメタル

僕が初めて動くマイルスデイビスを見たのは1973年にNHKの「世界の音楽」という番組で来日公演の放送を見たことだった。その時の映像は今でもYouTubeで見ることができる。 演奏が始まってからステージの緞帳が上がる演出は今では考えられない。マイルスは異様…

電源ケーブル用制振アダプタを自作してみる - 簡単にできる音質改善グッズ

最近、ケーブル用制振アダプタというオーディオアクセサリが流行っている。電源ケーブルだったり、信号ケーブルだったり、アンプやプレーヤーの後ろから垂れ下がっているケーブルをしっかり支えてあげることで音質を改善するグッズ。 確かに、音質改善を目的…

SHURE V15 TypeV - MR - JICO SAS針 - 「音楽との対話」

今年2月に購入した中古のSHURE V15 TypeV - MR。少し歪っぽいというか、ちょっと音質が埃っぽいところがあって、今ひとつな感じがするので、思い切ってJICO社のSAS針を新たに購入してみることにした。 今回選択したのはSAS針としてはオーソドックスなボロン…

Kraftwerk / Trans Europa Express - クラフトワークはドイツ語で聴かないと

このエントリーを書こうとしばらく前に思ったら創設メンバーのラルフ・フッター(Ralf Hütter)が亡くなり、追悼記事がたくさん出て、それに便乗するような印象となるのも嫌だったのでちょっと時間を置いていた。 そもそもKraftwerkは、ラルフ・フッターとフ…

四人囃子 / 一触即発 - 狂った初夏の陽射し

日本のロックを聴かないかというと、そうではない。一番初めはTVで見たモップスから外道、遠藤賢司、コスモスファクトリー、フラワートラベリングバンド、PYG、裸のラリーズや東京ロッカーズの頃は、フリクション、ヒカシュー、自殺、8 1/2、ボルシー、プラ…

ハイファイ堂レコード店の閉店セールでまとめ買い - バーゲンの罠に進んでハマってみる

ここ数年はオンラインで中古のオーディオ製品や中古レコード、CDの購入で利用していた名古屋を本拠とする「ハイファイ堂」のレコード店が(新型コロナウイルスで来客が減ったことも関係しているのか)GW中に突然5月末で閉店とのアナウンス。それで全品50%OF…


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